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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの再開を 01
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よ」
 「……もう夕方だぞ?」
 「昨日、ちょっと無茶してね。 さすがにお疲れなんじゃないかな?」
 「何したんだよ?」
 「大型モンスター討伐系クエスト2連続の後に迷宮区で大暴れ」
 「それ、ちょっとなのか?」

 明らかに呆れた調子のキリトに「ちょっとでしょ」と適当に返してからエギルさんの方に視線を向ける。
 どうやら一応の合意に達したらしく、エギルさんのホクホク顏がここからでも見えた。

 「よし決まった! 『ダスクリザードの革』20枚で500コル!」

 その威勢の良い声を聞いて、僕とキリトは顔を見合わせて苦笑。
 ダスクリザードの革は防具素材としてかなり良質だ。 それを20枚で500コル何て言うのはあまりにもあんまりだけど、当のエギルさんは有無を言わせるつもりはないようで、迷っている両手槍使いのプレイヤーを軽く睨むようにして促した。

 「あはは、さすがは悪徳商人」
 「鬼だな」

 向こうに聞こえないように小声でやり取り。 聞こえればさすがに営業妨害だし、それを見て笑っている僕たちも同罪だろう。

 「毎度?? また頼むよ兄ちゃん!」

 豪快に笑うエギルさんと僕たちの前を通り過ぎる両手槍使いのプレイヤーとを見比べて、もう一度苦笑した。
 可哀想ではあるけど、エギルさん相手に隙を見せた彼も悪い。 次は頑張ってね、と適当な慰めを胸中で呟いていると、入れ替わるようにしてキリトがエギルさんに声をかける。

 「うっす。 相変わらず阿漕な商売してるな」
 「よぉ、キリトか。 安く仕入れて安く提供するのがウチのモットーなんでね」
 「あはは、半分嘘つきだね」
 「まったくだ。 まあいいや、俺も買取頼む」
 「キリトはお得意様だしな、あくどい真似はしませんよっ、と……」

 そう言いながらトレードウインドウを覗き込んで、エギルさんの厳つい顔が驚きで固まった。
 何事かと思って身を乗り出すけど、キリトの手元にあるトレードウインドウには何も映っていない。 設定を弄らない限り、ウインドウが本人以外に見えないのは、SAOの仕様だ。

 「おいおい、S級食材じゃねえか。 『ラグー・ラビットの肉』か、オレも現物を見るのは初めてだぜ……。 キリト、おめえ別に金には困ってねえんだろ? 自分で食おうとは思わなかったのか?」
 「思ったさ。 多分二度と手に入らないだろうしな……。 ただなぁ、こんなアイテムを扱えるほど料理スキルを上げてるやつなんてそうそう……」

 そこまで言ったキリトが恐ろしい勢いで僕に振り返る。 見れば、エギルさんも僕を見ていた。
 えっと、僕、何かしたかな? 何てとぼける暇もなくキリトが口を開く。

 「なあ、確か料理スキル上げてたよな?」
 「うん、まあ。 でもやらないよ」
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