IF 二話:無意識
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。
だが、どんな形であろうと、無意識の内であろうと彼らの死を望んでしまった。
世界を救うと吠えた―――正義の味方が。
「悠久なる凍土、凍てつく棺のうちにて永遠の眠りを与えよ―――凍てつけッ!」
『Eternal Coffin』
クロノがデュランダルの凍結魔法で海面ごと闇の書の闇を凍結させる。
そんな光景をガラス玉のように空虚になった瞳で見つめながら切嗣は呆然としていた。
世界を救うという大義の前では一人の命などどうというものではない。
今の自分なら間違いなくそう断言する。しかしながら、それは原初の願いではない。
今まで疑いもしなかった。どれだけ汚い道を歩くのだとしても必ず辿り着く場所は子供の頃に思い描いた理想の世界だと。
だが、歩んできた道がそもそも間違いだとしたら?
理想への道筋だと信じていたものがどうしようもなく醜悪なこの世の地獄への道だとしたら?
誰も救われはしない、原初の願いとは真逆の到達点だとしたら?
―――衛宮切嗣という男は何のために罪なき人を殺してきたのだろうか。
「全力全開! スターライト―――」
「雷光一閃! プラズマザンバー―――」
「響け、終焉の笛! ラグナロク―――」
娘達が奇跡を起こすために、最後の力を振り絞っている。
この攻撃が通らないことをどこかで望んでいた。
多くの人間が救われるという結末を心のどこかで拒んでいた。
とんだ大嘘つきだった。救うと言いながらその実、他者への救いを拒んでいた。
自分の行いを正当化するために他者の命をゴミのように捨てた。
何という自己中心的な人間だろうか。
何度殺されても足りないと思えるほどに罪深い人間。
それが自分だというのだから笑いも出ない。
『ブレイカーッ!!』
三人による最大攻撃の同時発射。
その攻撃により見事にコアは露出し、強制転移によりアースラ軌道上に移される。
切嗣の体はもう見たくないと心が悲鳴を上げるのも無視して見届けるために顔を上げる。
勿論、見えなどはしない。だが、それでも己の行いが完全に否定される瞬間が怖い。
いや、怖いと感じることすらおこがましい。
どれだけの罪を受けても許さるはずがないのだから。
「お願い…!」
なのはは祈るように手を組む。彼女の祈りは届くだろう。
一人の男の全てを破壊しつくすのと同時に。
奇跡は起こされる。衛宮切嗣という男の全てを否定するために。
彼に今まで犠牲にしてきた者達は皆、救えたのだと突き付ける為に。
―――奇跡は起こされる。
【コア……完全消滅。再生反応―――ありません!】
喜びに沸く周囲と反対に切嗣の目は完全に光を失う。
これでも
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