IF 二話:無意識
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の少ない方を殺していくのだとしても、それを続ければいずれは世界には二人しか残らない。違うか?」
それは切嗣が今まで決して目を向けようとしなかった真実。
しかし、突き付けられてもなお切嗣はその事実を見ようとはしなかった。
クロノに掛けられた言葉の意味を理解できぬ訳ではない。
ただ、心が叫ぶのだ。記憶の中の住人が怨嗟の声を上げるのだ。
価値ある犠牲でなければ一体何のために自分達は死んだのかと。
「……だとしても起こることのない奇跡に縋るよりはマシだ」
「何を言っても無駄か……」
分かり合うことは決してできない。
態度でそう表す切嗣に悲しげ顔をしてクロノは顔を背ける。
切嗣の方も今までの行いから逃げることもできずに希望から目を背ける。
そんな、決裂した男達の物悲しい空気を壊すようになのはが声を上げる。
「……ねえ、クロノ君。アルカンシェルってどこでも撃てるのかな?」
「つまり……ここにいる戦力でバリアを破いて、本体を一斉攻撃してコアを露出させてアースラ軌道上に転移。そこでアルカンシェルを撃つってことか……ムチャな。でも、理論上はいけそうだ」
防衛プログラムのコアを宇宙空間で消滅させて誰も犠牲にしない奇跡を起こすことを決めるなのは達。
切嗣はそんな様子に無理だと心の中で断じるが動くことができない現状では何を言っても無駄であるために口を噤んだままだった。
また、なのは達の作戦が失敗すればアルカンシェルをここに撃ち込むことになっている。
故に作戦の有無は切嗣にとってはそこまでのことではないのだ。
手遅れになる前にアルカンシェルで闇の書の闇を止める。
結局のところ彼の頭にはそれしかなかった。
「今回の鍵は連携だ。全員頼むぞ」
「分かった。……でも、クロノはどうするの? その……S2Uはもう……」
フェイトが案ずるようにクロノは切嗣によりデバイスを破壊されている。
戦えないわけではないが、相手が闇の書の闇ということを考えると心細いことこの上ない。
クロノ自身もそれが分かっているためか、渋い顔で頷くだけである。
「……クロノ。これを使いなさい」
「アリア…!」
そこにアリアが声をかけてくる。
驚きながら振り返ったクロノにアリアはデュランダルを差し出す。
どうしたものかと戸惑うクロノにアリアは悲しげな瞳のまま告げる。
「これをどう使うかはあなたしだい。性能に関しては折り紙付きよ」
「……分かった。ありがとう」
カード状態のデュランダルを受け取るクロノ。
多くの者を悲しみの底に沈めてきた闇の書。
その悲しみの連鎖を今度こそ止めるのだと覚悟を決める。
まるで炎が灯ったかのような瞳にアリアは弟子の成長が
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