第2話 砂上の日常
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何時もの夜の見回りから帰宅した士郎は、藤村組特別相談役と言う肩書きを約一年前から与えられた居候の美女の部屋に会いに行った。
ドアの前に立ち、士郎は礼儀としてノックをする。
「士郎です。今日の報告をしに来ました」
「あー、士郎か。いいぞ、入って来て」
「ではお言葉に甘えて失礼しま―――って!?」
部屋の主の了解を得て扉を開けた士郎だったが、何と目的の美女は、セクシーすぎる体を隠そうともしない黒のベビードール姿で、ほとんど透けていた。
それを士郎は咄嗟に気づいてから、瞬時に扉を閉めたのだった。
「なんて服装してるんですか!」
部屋の主である黒髪赤目の美女に、士郎は扉越しで抗議をする。
「何でも何も、此処は私の自室で今は夜の10時過ぎだぞ?私がどんな寝間着姿であろうと、お前には関係あるまい?」
「今日は寝る前に報告しに行くって言ったじゃないですか!ですからせめて、俺の報告が済んでからにしてください!」
士郎の言葉に、黒髪赤目の美女――――影の国の女王にして、幾柱もの神霊を屠って来た超人スカサハは次の言葉を考えていた。
何故、世界の裏側に居るであろう彼女が士郎の家の居候しているかと言う話も気になるだろうが、士郎がこの世界に跳ばされた後に、赤ん坊からやり直してきたこれまでの話をしよう。
その時の名は〇〇士郎だった。
赤子の時点で親に捨てられた士郎は、不幸中の幸いにして通りかかった魔術使い衛宮切嗣に引き取られた。と言っても衛宮切嗣は家事能力育児能力ゼロだったので、以前から親交があった藤村組に殆どお預け状態で育ったのだ。
しかし度々帰ってきたり出掛けたりと士郎に会いに来たが、約十年前に衰弱死で死んでしまった。
今世の彼は、汚染された聖杯戦争に参加したわけではないのに、同じような結末で士郎に見送られながらこの世を去って行った。
その後の士郎は、藤村組に厄介になりながら表は少々不相応な精神年齢大人の少年として、裏では魔術師として生きて来た。
しかし、ある日を境に世界にシャドウサーヴァントが現れ始めてから、士郎は遠坂凛に魂に仕込まれた術式を発動させて英霊召喚を行ったのだ。
いつか来る可能性のあるサーヴァント対策のために。
そこで自身の投影魔術を使って、真紅の魔槍を触媒にケルト神話の大英雄、クー・フーリンを呼び出そうと狙った。
彼の青き槍兵に、聖杯戦争に巻き込まれた切っ掛けではあるが、何処か憎めないサーヴァントであった。
彼ならば、このトンデモナイ世界と相性も良さそうだし、私情と仕事をきっちり分けるところも藤村組に馴染めそうと考えたからだった。
しかしいざ召喚してみればどんな偶然が作用したか、青き槍兵では無く、幾多の神霊を屠って来た超人にしてクランの猛
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