第2話 砂上の日常
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犬の師匠でもある影の国の女王であった。
人の身で神域に踏み入った罰により、不死性の呪いを受けて死ねなくなったために英霊の座に祭り上げられることなく、今もまだ“世界の裏側”に存在し続けていた。
そして彼女は英霊でもないので、勿論受肉しているし、どのクラスにも当てはまらなかった。
そんな彼女に事情を説明した後に、どの様な思惑により決めたかは定かではないが残り続けると言った。
彼女曰く――「此処に留まり続ける理由も無いが、急いで帰る必要性も無い」との事だ。
それに彼女は士郎に興味を持ったのも一応の理由だと言う。
希少な魔術特性に、魔法使いやサーヴァントを師に持つ現代の英雄の素質を持った魔術使いにだ。
その出会いを切っ掛けに、それから今日までの2年間、士郎はスカサハのスパルタ特訓を受け続けた。
以前あった時のクー・フーリン曰く――「遠坂の嬢ちゃんでも逃げ出す程のスパルタぶり」を、士郎はそこまで無理なく耐え切ったのだ。
士郎から言わせれば、自分の3人目の魔術の師匠である万華鏡よりは優しいと語っている。
だが、もし万華鏡に廃人にされた魔術師たちが正気に戻り、スカサハのスパルタを受ければ全員揃って口にするだろう。
『大差無い』と。
そんなこんなで今に戻る。
面白い答えを思いついたスカサハは、声音に色を混ぜ込みながら士郎に言う。
「鈍い奴だの。これはお前を誘っておるのだよ」
「なっ!」
扉越しとは言え、余りに色っぽさを含んだ声に、士郎は廊下で1人僅かに赤面する。
「フフ、前の世では経験を積んでいると言う事だったが、私からすればまだまだ初心よな。まぁ、そんな反応がまたそそられるがのう」
扉越しにも拘らず、士郎の動揺を手に取る様に把握しているスカサハは、声音は色っぽさに満ちているのに表情は人をいじる気満々の顔をしていた。
しかし今生では兎も角、本来の世界では複数の女性たちと関係を持ってきた士郎も、そう時間を掛けずに揶揄われていることに気付いて冷静になった。
「・・・・・・・・・揶揄わないで下さいよ」
「揶揄うなどと人聞きの悪い、私は本気だぞ?」
「スカサハさんの閨に呼ばれる資格があるのは一流の戦士だけでしょう?俺は何所までいっても二流ですから、資格など永久に訪れませんよね?」
「確かにそうだが、お前なら特別に構わぬよ」
「本気なら身に余る光栄ですが・・・・・・微かに笑っているでしょう?」
話していく内にスカサハは堪えきれなくなっていたようで、僅かに漏れた笑い声を士郎に聞きとられてしまった。
それを、さて如何するかと思案する。
そんな彼女の図星を突いた士郎といえば、突然に答えが返ってこなくなった事に
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