開戦前日;side 転校生
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明日に備えて準備をするという口実で、夜魔口悪夢は番長小屋から少し離れた位置にある運動部用の倉庫に入った。ここに実は迷路のようなダンジョンの入口があるというのは番長グループでは周知の事実だ。
ダンジョン自体は大銀河と夜魔口によって攻略済みであり、危険はほぼ無い。
中にいたモンスター達はほとんどが二人によって倒され、たまに沸いても二人の恐ろしさを身を持って知っているので襲い掛かったりはしない。
だから、夜魔口はこのダンジョンを倉庫兼秘密基地のようにして使っていた。
ここに仕舞ってあるものは彼女の能力には欠かせないものだ。それなりに広い上に迷路のような構造になっているダンジョン内では見つかりにくく、かつ見つかっても「ここはダンジョンだし"こんなもの"があっても不思議ではない」と思わせられるものだ。
ただし、今日用があるのはその"仕舞ってあるもの"ではない。
用があるのは、倉庫内に置いてある夜魔口が設置した一台の電話。それと―――。
「んー! んー!」
と、必死に喉を鳴らすガムテープで口を塞がれた女生徒だ。無論塞がれているのは口だけではない。縄で足と手を固く縛り、さらに胴体は縄で柱に縛りつけられている。
夜魔口の姿を見るなり女生徒はあからさまに恐怖を倍増させ、両目から涙を流し始める。
夜魔口は別に女子高生を縛って快感を得るようなレズでもないしサディストでもない。確かに縛って監禁している女生徒は校内で一、二を争う美少女と言ってもいいくらい可愛い顔立ちをしているが、それが理由で縛っている訳ではない。
「おい」
夜魔口は懐から短刀を取り出し、女生徒の頬に当てる。
「静かにしてろよ」
見た目にそぐわぬ、感情のこもっていない驚くほど低い声が女生徒から声を奪った。
女生徒が完全に恐怖に屈したと判断した夜魔口は電話に手を伸ばし、ダイヤルを入力する。驚くほど長いその番号は入力を終えるまで数分の時間を要した。
最後の数字を押して、コール音が数回鳴って、ようやく相手に繋がった。
手軽に挨拶を済ませて本題に入る。
「転校生の召喚を頼みたい」
◆
転校生。
異界から召喚されし、圧倒的な戦闘力を持つ魔人。
無限の攻撃力と無限の防御力を併せ持ち、歴史的事件の裏には必ず存在が見え隠れする謎の存在。
そして、召喚する際には"報酬"が必要とされる。
◆
鈴木三流、白金遠永、南崎シンリは召喚された転校生を見つめる。
「召喚に応じて参上しました。転校生の両性院乙女です」
挨拶に応じ、返事をしたのは鈴木三流。
「どうも。私が依頼主の鈴木です
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