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コインの知らせ
3部分:第三章
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否定するのだった。
「あれだよな。やっぱり体当たりだ」
「それか」
「あれでも別にいいんだよな」
 今度は試合の運び方について彼等に問う。
「体当たりを仕掛けても」
「ああ、別にいいぜ。というよりかは」
 その部員はここで答えるのだった。それは卓也が今まで考えていなかった剣道のスタイルであった。
「あれもいいんだよ」
「体当たりもか」
「というかあれ使うのと使わないのとで全然違うな」
「柔道でもそうだろ?」
 柔道の話も出た。
「ぶつかりも大事だろ、やっぱり」
「その通りさ」
 実際にそれを応用したのだからこう答えるのも当然であった。
「それと同じだよ。剣道もな」
「そうだったのか」
「柔道だって色々な試合の運び方があるよな」
 これは言うまでもない。それこそ柔道をしている人間の数だけの運び方がある。それは剣道でも同じだというのである。
「そういうことさ」
「そうなのか」
「ああ。だからあれもありなんだよ」
「そうか、わかったよ」
 卓也は彼等の言葉を聞いて頷いた。納得した顔で。
「成程な。剣道でもか」
「勉強になったか?」
「ああ、よくな。まあまた剣道をやるかどうかはわからないけれど」
「おいおい、そう言うなよ」
 それを言うとすぐに彼等から言われた。
「また頼むぜ」
「御前強いんだからな」
「何だよ、さっきと言ってることが違うぜ」
 彼等の態度が変わったことに思わず苦笑いを浮かべる。
「全く。現金だよな」
「そう言わずにな」
「ちぇっ、ただじゃ嫌だぞ」
 卓也も少し意地悪に言うことにした。しかし悪意はない。
「せめてラーメンかハンバーガーでもな」
「わかってるって」
「それ位はな」
「だったらいいけれどな」
 案外安い。しかしそれも高校生なら当然だった。
「まあそういうことでな。しかし剣道も」
「中々いいだろ」
「ああ、気に入ったよ」
 にこりと笑って微笑む。彼にとっては楽しい助っ人であった。

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