第九十二話
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「すっご……」
ショウキに店の片づけを任せて、みんなを引き連れて上位のプレイヤーの見学に来ていた。ここに来る間にも水着でロッククライミングしているプレイヤー、メイド喫茶のようなものをやっているプレイヤー、デュエルをしているプレイヤー――などなど、様々な参加者がいたが。確かにこれは別格だ。
インプとスプリガンの女性プレイヤーによる剣舞。剣舞といっても型などあったものではなく、ただただ高速で剣を打ち合っているだけであるが、それでも衆目を引く出来だった。そのトリックは単純にそのクォリティー――リズでは目で追えないほどのスピードで繰り出されるそれは、もはや美しい一つの芸術品のようであり。
「参った!」
そしていつしか、スプリガンの女性の方が降参し、疲れ果てたように砂浜に尻餅をつく。勝利したインプの少女は、ポーズとして対戦相手の首もとに剣を突きつけた後、観客に向かってVサインを見せてみせた。
「へへ、またボクの勝ちだ!」
「お疲れ様、二人とも」
インプの少女のVサインで盛り上がる観客たちをよそに、二人の仲間らしいウンディーネの女性が、デュエルで削れていた二人のHPを得意の回復魔法で回復させていた。ただ疲労まで回復することはなく、スプリガンの女性は砂浜に倒れ伏してしまう。
「もう無理! 疲れたー」
「ええー?」
砂浜に四肢を投げだすスプリガンの女性を囲んで、仲間うちで話し始めるプレイヤーたちを見ながら、シリカがボソッと呟いた。
「あの……凄すぎるんですけど……」
「そうね……」
シリカの信じられない、とばかりの言葉に頷いた誰かの言葉が、そのプレイヤーたちがポイント上位だということを知らしめていた。この中では一番の武道派であるリーファすらも、神妙な面もちになっていることもその証左として。
「あー、もう無理。砂浜に寝転んで日光浴するの気持ちいいし……」
スプリガン――影妖精族らしからぬことを呟きながら、そのまま砂浜をゴロゴロと転がっていく。それはそれでポイントを取れそうではあるが、もうスプリガンの女性は剣舞をする気はまるでないらしく。
「しょうがないなぁ……誰か、ノリの代わりにボクの相手してくれる人、いないかな!」
インプの少女の観客への呼びかけに、周囲をざわめきが支配する。このコンテストに来ているプレイヤーに、リーファのようなデュエルに自信があるようなプレイヤーの割合は、特に難易度の高いクエストがあるわけではないため決して多くない。
先程まで目で追うのがやっとのデュエルを見せられた観客は、そのインプの少女の提案に対して顔を見合わせる。『おいお前行けよ……』『いやお前こそ……』みたいな雰囲気が、海岸を支配しようとしたその時、一人の女性プレイヤーが大
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