第九十二話
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ほどの勢いで攻撃したのだが、それは直前にリーファが回避していたようだ――それでも飛行は困難になると、リーファは砂浜に落下していく。
「終わりだ!」
もはや、回避をする暇も魔法を唱える暇も剣を構える暇も避けようとする暇も状況を考える暇も何か行動を起こす暇も与えず、リーファが砂浜に落下するのと同時に、ユウキの空中からの追撃が届く。舞い散る砂の中でリーファが最後に見たのは、自身の落下をも威力に加えたユウキの振り下ろしの一撃で、敗北を確信して目を潰ると――
「あれ?」
――いつまでもユウキの攻撃は届かなかった。寸止めして自分だ勝ちだ、などとリーファの兄のようなことを言った訳ではなく、寸分違わずリーファに一撃を与える筈だった。
恐る恐るリーファが目を開けてみると、そのすぐ目の前にユウキの困ったような顔があった。本当にすぐだったため、自分の視界いっぱいに飛び込んできた彼女に少し驚いてしまったが、どうして自分が攻撃されなかったのか考えると。
「あ」
……見たところ修正不能な程に折れ曲がった、ユウキの片手剣の姿があった。今まで仲間のノリとやっていた剣舞、ルクスやリーファとの攻防を立て続けにやったことで、ユウキの剣は既に限界を迎えていたのだ。それを無理やり使い続けた結果、今の一撃でかかった風圧が最後の決め手となり。
片手剣はボッキリと直角に折れ曲がっていた。最後まで折れなかったのは職人の腕かともかく、直角に折れ曲がった剣で斬りつけることは出来ず、結果としてリーファにその一撃は当たらず。
「えっとこれ……どうしよっか?」
心底困っているのを朗らかな笑顔でごまかしながら、ユウキはリーファへと問うていた。ただし答えるべきリーファには、そのユウキが言う『これ』というのが片手剣のことなのか、デュエルの勝敗の結果のことなのか、はたまた……この砂浜に漂う微妙な空気のことなのか。判断がつかず、答えることは出来そうになかった。
「うっわ、酷いわねこれ。ってか何でこれで折れてないのよ、むしろ」
直角90°に折れたユウキの片手剣を見ながら、本職のリズがどうしようもないコメントを発する。折れ曲がった片手剣を眺めながら、一応まだ使えることを確認しながら、少し不満げな顔をしたユウキに返す。
「むむむ……あそこで折れてなければ……でも楽しかったよ、ありがと!」
「そうそう、ユウキとああも戦える人なんてそういないって!」
ユウキとの剣舞を拒否した後は、日光浴に夢中になっていたスプリガンの女性、ノリがリーファの肩を組む。突然肩を組まれたことで、ひゃっ、と悲鳴をあげながら飛び退くリーファに対し、何やらノリの目が怪しく輝きだした。
「ほほう、これはなかなかいい反応……」
「そうでしょうそうでし
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