第九十二話
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――攻めきれないことにリーファは、知らず知らずのうちに歯噛みしていた。確かにユウキの動きと反応速度は驚異的ではあるが、その太刀筋は無駄の多い我流――しかしそれ故に、ユウキ自身に合った剣術を取れている訳だが――装備自体はあまりいい物ではないと、リーファはユウキのことをどこかのゲームから来た、いわゆるコンバートしたプレイヤーだと見抜いていた。
ならばこのゲーム特有のエアレイドならば、それを得意とするリーファに勝ちの目がある。そう計算しての空中戦だったが、なかなかどうして攻めきれない。
しかし、それはユウキも同様であり。しっかりとした剣術を学んだような、エアレイドを得意とするリーファの攻撃を、空中では防ぐのが精一杯でとても攻勢には移れなかった。ユウキ自身、空中戦は――空を飛ぶ感覚が気に入ったため――苦手ではない、むしろ得意であったが、流石にリーファに及ぶことはなく。
「ええい!」
「この!」
何度目になるか分からない鍔迫り合いの状態を脱し、お互いに少しだけ距離を取る。今のうちに地上に近づこうと、ユウキは翼を地上へと向けて落下しようとしたものの、その下部には既にリーファの姿があった。
「やっ!」
ユウキ自身がルクスに初手にやったような、下方向からの鋭い切り上げに、ユウキは翼を操作してその場で一回転。突き出されたリーファの剣を避けるものの、リーファはすぐさまそれを追って切り裂くが、それはユウキも自身の剣で受け止める。再び同じ高度で向かい合った二人だったが、突如としてリーファの指が光を帯び始めた。
「電撃アターック!」
「魔法!?」
今まで明かさなかったリーファの書くし玉。こればかりはコンバートしたばかりのユウキにはなく、至近距離からのまさに高速の雷撃に直撃し、ユウキは一瞬だけ身体のコントロールを失って落下していく。
「もらった!」
あとはリーファ本来の得手である高速の斬撃の出番。翼のコントロールを失ったユウキに、すぐさま追撃をかけるために高速で飛翔する――
「うわっ!」
――リーファの顔面にまき散らされたのは、多量の砂。突如として巻き上がってきたそれに、自身の高速の飛翔が仇となって、正面から顔に砂が当たってしまう。
その正体は、落下したユウキが片手剣て巻き上げた砂。手を伸ばしてギリギリで届いた片手剣は、砂浜に一撃を与えて砂をまき散らしていき、広がった砂は羽ばたく翼の勢いで天空に舞い上がった。そしてそれがリーファの顔面に当たり、視界や口に入って怯ませた隙に、ユウキは魔法の麻痺から解放されていた。
「やあぁぁぁ!」
再びリーファの上空に回っていたユウキは、リーファの身体ではなく先にリーファの翼を狙うと、両翼に飛翔出来ないほどのダメージを与える。切り落とす
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