第九十二話
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と帰っていく。
「お疲れ様です、ルクスさん!」
「ナイスファイトー」
「ありがとう、二人とも」
ルクスが戻ると、リズとシリカだけでなく、他の見ていたプレイヤーからも拍手が送られた。それらに照れながらも応じながら、自分もリーファとユウキのデュエルを見ようとするも……自分に万感の拍手が送られ続ける理由が、少し判明した気がした。
「あんのバカ……熱くなったのはいいけど、本当に空中で戦っちゃ観客に見られないでしょうが!」
「あ、あはは……」
空中戦闘を仕掛けたリーファはどこかへ飛んでいっており、すっかり海岸からは見えなくなっていた。一応このデュエルは、より多くの人に見られて水着コンテストの順位を上げるためなのだが、リーファの頭からはすっかり抜け落ちてしまったらしく。そしてあの二人の空中戦についていこうという観客もおらず、ただデュエルの結果は気になるのでこの場を離れられず、結果として帰ってきたルクスに視線は集中していた。
「それに比べてルクス。あんたはさっきのお尻突き出しドジッ子着地ミスとかナイス!」
「……リズさん、セクハラですよー」
「あの、そ……そ、そうだ。剣。ありがとう、二人とも」
照れくささを紛らわせるようにしながら、ルクスは預かっていた剣をそれぞれに返そうとするも、むしろ二人はそれを不思議そうに見返しており。
「なーに言ってんのよ、そのままあげるに決まってんじゃない」
「ですよ!」
「え……だけど……」
やはり遠慮というか逡巡するルクスに対して、リズは「あーもう」と面倒くさそうに呟きながら、ルクスの目前に向かって指を指す。
「そんくらい遠慮せずに受け取っときなさい。ルクスはちょっと遠慮がちすぎるわよ?」
「リズさんぐらいがめつすぎても困りますけどね?」
「何言ってんのシリカ、キリトがいる時いつも触手に巻かれて、サービスショット連発のあんた程じゃないっての」
何を思い出したのか、みるみるうちに顔が赤くなっていくシリカを見て笑いながら、ルクスは二人から貰った二刀のことを見る。二人の想いが籠もったそれぞれの剣、これからこのゲームを楽しんでいくという、そんな小さな小さな目的の象徴にしよう、と。
「それじゃあ……ありがたくいただくよ」
「そうしなさい。……むしろ、その剣はあたしの店の名前も刻んであるんだから、もっとバリバリ活躍してよね?」
「あ! リーファさんたち見えましたよ!」
正確には見えやすい位置にまで降りてきた――だが、シリカがそう言った通りに、リーファとユウキがクルクルと回りながら、そのまま落下してくる様子が見て取れた。実態だけ見ればそういうことだが、その一回転の間には何隙もの剣戟が行われており。
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