トリップ一年目
第三章 玉狛第一の狙撃手
第二話 ぼくの落とし物
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
〜???side〜
ぼくは警戒区域に足を踏み入れた。
もし近界民が出たら死んじゃうな、と思いながら。
でも気づいたらここに来ていた。
そしてボーダー本部を眺めていた。
あのデカイ建物がボーダー本部・・・
別に珍しくもない。日常的なものだから。
戦闘の音には慣れきったし。
慣れない音は人の心音や会話ぐらいかな。
ぼくはうるさい音に耳を塞いだ。
まずいことに門が近くに開いたらしい。
逃げなきゃ・・・
そう頭を働かせた時、すでに近界民は斬られていた。
刀を片手に、ジャージ姿で寝癖だらけの髪。
目付きの悪い目で睨まれた気がした。
「なにしてんの?ここ、警戒区域だけど」
さて、どう答えよう。
ボーダー本部を見に来ただけと言うのは恥ずかしい。
「落とし物を探しに来た。」
なんと苦し紛れな・・・
明らかに有り得ないことを言うぼくを、相手は叱ることもなく・・・
「探してやるか・・・」と言われた。
普通、怒りそうなものだが。
「あんた、名前は?」
「・・・なんで名乗らなきゃいけないの?自分から名乗れば?」
「なんで女子から名乗らせるの?
この刀で斬られたいのかい?」
「ボーダーが脅迫した。マスコミにばらす」
「その前に証拠を消す」
そう言う寝癖ボーダーの顔は、よくある漫画の敵キャラみたいだった。
斬る気充分らしい。
本当にボーダーが脅迫してる。
「菊地原士郎・・・
で、そっちは?」
「ふーん。で、落とし物はどんなやつ?
彼女からのプレゼントと?
まさかの彼氏から?まあいいけど」
無視か。
とんだボーダー隊員もいたものだな。
寝癖ボーダーはぼくに背を向けて歩き始めた。
途中、瓦礫を持ち上げてみたり・・・
他人のアルバムを見つけてみたり・・・
「あ〜ピアス見っけ。
って、ピアスなわけないか。
学校にピアスしたら規則違反だもんね。
この犬のぬいぐるみは?」
なんだか騙すのが申し訳なくなる。
いや、この人は気づいているはずだ。
ぼくが落とし物なんてしてないって。
「違うよ。
というか、落とし物なんて嘘だし。
気づいているんでしょ?」
「・・・・・・」
冷たい目で睨まれた。
怒られることには慣れている。大丈夫。
耳がいいと色々聞こえるから、口が悪くなった。
周りの悪口ばかり・・・
そんな自虐的な思い出に浸っていると・・・
「はぁ。
で、落とし物は見つかったの?」と言われた。
いや、落とし物はないって言ったんだけど。
「はぁ。ちゃんと言わなきゃダメ?
ボーダーに入るか入らないか決めたの!?」
この人、なんでぼくが来た理由知ってるの?
ストーカー、盗聴、盗撮・・・
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ