レリーシェ×ユウ君
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正直、自分でもなぜ承諾してしまったか分からない。
「………早く書庫に戻りたい…。」
「な、なんでだよいまさら!!せんとうのくんれんしてくれるっていったの、そっちだろ!?」
まあそうなのだが。……このやる気満々で木刀を構えている黒猫、もとい黒豹相手にどう戦えというのだ。薙刀でも振るえば耳か尻尾が切れる気がする。
「はいはい。…一応手加減はするわよ。」
「しなくていい。……おれは、つよくなりたいんだ。」
「……………。」
首を回して、小さくなった黒豹を見下ろす。強くなりたい理由は知らないが、果たして自分がこのくらいの背丈だった時にここまで強く願うことがあっただろうか。
「…立派ね。」
「な、なんだよいきなり。おだててもやめないぞ!」
「分かってるわよ。…せいぜい頑張りなさい。」
申し訳程度の応援をし、本を開く。パラパラとページを捲る私に、黒豹の不満そうな声が飛んできた。
「いまからたたかうんだろー!?ほんよむな!!!」
…堪えきれず、私は肩を震わせてくすくす笑った。黒豹が困惑しているのが、見なくてもわかる。
「ええそうよ、今から戦うの。だから本を読むの。」
目的の場面を見つけ、微笑みながら振り返った。背を離された黒豹も素早くこちらを向き、木刀を振りかぶった。
………何もまだ分かっていないのね。
屈んで本を盾にし、攻撃をしのぐ。そして、一節を呟いた。
楽しい読み聞かせの始まりと言わんばかりに、笑いながら。
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