必殺クッキー手裏剣
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トするような感じの」
「自分で言ってるけれど」
そのだ。プレゼントのことだ。そのことを自分で言ってしまった舞だった。
しかし何はともあれだった。舞は皆にそのプレゼントに合うお菓子を教えてもらったのだった。そしてであった。
ある日だ。その裕作の下駄箱にだ。こんな手紙が入っていたのだった。
「何かな、これって」
その日の放課後である。第三校舎の調理室に来られたしとある。筆で達筆な感じで書かれている。正直これで何が何なのかわかる者は少ないだろう。少なくとも裕作にはわからなかった。
来られたし、と筆で書かれているから果たし状かと思った。だが今時果たし状もないと思いその可能性はすぐに打ち消した。
そして何はともあれ放課後その調理室に向かった。調理室の中は誰もおらずガスの点いていないコンロや調理器具が見える。壁や床の白と器具の黒の部屋の中にはだ。彼以外は誰もいないように見えた。
しかしここで、だった。不意にだ。
彼の横からだ。何かが飛んで来た。それは。
裕作の制服の既に突き刺さっただ。それはだ。
十字のものだった。しかも三つ程度ある。それぞれにだ。こう書かれていたのだった。
『田所君、私と交際して下さい』
『交際してくれるならこれを食べて下さい』
『岩風舞』
こう書かれていたのである。それを見てとりあえずだ。その十字のものを手に取りだ。書かれている文字をまじまじと見直した。
そしてそのうえでだ。頷いてからだ。その十字のものそのものを見た。それは。
「クッキーだったんだ」
それだったのだ。十字のそれはクッキーだった。白く焼かれた奇麗なクッキーだった。
彼はそれを手に取ってだ。にこりと笑ってだ。そのうえで食べたのであった。
彼がその三つのクッキーを食べるとだ。まさに風の如くだ。舞が出て来て言うのであった。
「いいの?私で」
「うん。こんな僕でよかったら」
笑顔で応える裕作だった。そうしてだった。
「クッキー。もっと食べさせて」
「これからも?」
「そう。これからも」
こうだ。笑顔でその舞に話すのである。
「そうしてくれるね」
「田所君さえよかったら」
舞もだ。真っ赤な顔を綻ばせて応えた。こうして二人は交際することになった。
しかしだ。ここで、だった。裕作は温かい笑みを苦笑いに変えてだ。舞に言った。
「クッキーは美味しかったけれど」
「けれど?」
「今度からは。手裏剣にしたり投げたりしないでね。普通にね」
こうだ。舞に話すである。
「普通に焼いたクッキーを御願いするよ」
「う、うん」
舞は困った顔になってだ。それでだった。
裕作の言葉に小さく頷いてだ。そうしてこう言った。
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