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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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。更に、夢の中であったから。所詮は夢の中の出来事だから、……と考えて世界の改変などを行い掛けたのでしょう。

 矢張り、こいつも被害者だな。そう考えながら、口から出る言葉はその思考とはまったく違う内容。

「あの時、俺はこう言わなかったか。もし、世界がつまらなくなって、どうしても作り変えたいと思ったのなら俺を呼べ。その時は、俺が世界の種子を用意してやるから――」

 一人よがりの考えで、今そこに存在している世界を種子として新しい世界へと作り変えようとするから邪神扱いされる。そもそも、太極から両儀が生じ、其処から更に四象、八卦、六十四卦と増えて行く。
 この辺りはビッグバンでも大きくは変わらない。ほぼ倍々ゲームの形でドンドンと膨らんで行く。この辺りに関してはそう詳しいと言う訳でもないので、少しニュアンスは異なるかも知れないが、宇宙のインフレーションと言われる現象と似ている状態かも知れない。

 もっとも、この部分は、今は差して重要な部分ではない。これは宇宙の謎を科学的に、もしくは仙術的に解き明かす作業。
 今重要なのはもっと下世話で、庶民的な内容。
 それは……。

「――ふたりで創ろうやないか。新しい世界と言うヤツをな」

 そう言いながら、そっと右手を彼女の前に差し出す俺。これはあの夜のやり直し。
 彼女の目を見て、直接声を聞いて伝える事の出来なかった言葉。

 もう笑うしかない内容。こんなの、誰がどう聞いても愛の告白。
 ただ、ハルヒの方は夢から目覚める前のドサクサに告げられた言葉。まして、最初は妙な夢を見た、……ぐらいにしか感じなかったと思う。事情が変わったのは、ふたりの出会いの場所に行け。其処に行けばコレがただの夢でない事が分かる、の言葉を信じて図書館に行き、其処で彼女宛てのプレゼントを受け取った後。
 彼女の求めていた世界は、彼女自身が知らなかった。……気付かなかっただけで、割と近くにその口を開けて待っていた、そう言う事ですから。

 但し、俺の方はそんなのんびりとした状況ではありませんでしたが。
 目の前にはアトゥ。そして、あの夢を見て居たのはハルヒで、その彼女が最初は夢から目覚める事を拒否して居たのですから。
 例え目の前のアトゥを倒したトコロで、ハルヒ自身を目覚めさせなければ、再び世界の改変を行うのは間違いない。その為には、夢の世界よりも、現実の世界の方がわくわくして、ドキドキする事が待っている、彼女に取っての望みの世界なんだ、と言う事を理解させて、納得させる必要があった。
 その為に、俺の正体を彼女に教え、世界の裏側には未だ神話の時代から続く魔法に彩られた世界が広がっている、と教えたのですから。

 それに――
 それに、仙術の究極の目的のひとつがコレ。完全に世界と同化……ハルヒの夢の
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