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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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形と成って居るので、どうにも締まらない見た目と成って居るのは仕方がない。
 妙に緊張した表情なのに、服装自体に余裕があり過ぎて、緊張感を緩和して居る……と言うか、何と言うか……。

 ただ、その緊張した雰囲気と表情から、彼女が本当の事を知りたい、と考えて居る事は強く伝わって来ているのは間違いないでしょう。
 但し、彼女が知りたがっているのがあの夜の真実なのか、現在の――。あの夜の、ではなく、現在の俺の感情なのか、……は分からないのですが。

 何にしても、もう隠して置いても意味はない。……と言うか、これ以上、隠していると彼女が俺の言葉に信を置かなくなる可能性が出て来る。
 まして、水晶宮と言う組織はそう言う組織。基本的に秘密や欺瞞により成り立っている組織ではない。少なくとも、望むのならある程度の情報は明かされる組織であるのは事実。
 国家と言う枠組みでもなければ、世界征服を企む悪の秘密結社などでもない。基本は宗教を捨てた大陸から追い出された神族や、日本で日陰に追いやられた地祇系の一部が寄り集まって出来た互助会。
 血の盟約、などと言うキツイ縛りはない。

 後は、その得た情報を信用するか、信用しないかは、その人間の判断に任せる、と言う事でも有るのですが……。
 心の中でそう考え、

「ハルヒ、お前、俺の話を全然、聞いていなかったな」

 あの夜、世界は邪神の召喚に因る危機を迎えていた。
 その事件を解決する為に俺がハルヒの夢の世界に侵入して、お前と三カ月ぶりに再会した。

「世界に破滅をもたらせようとしたのは――。歴史を改竄して、自分の思うままの世界を作ろうとしたのはハルヒ、お前や」

 事実をありのままに伝える俺。

 静かに流れる時間。ゆっくりと回る時計の秒針。
 重い、重い空気と気配。そして、乾いた彼女の視線。
 そうして、薄氷を踏む彼のような時間が……時計の秒針が軽く一周出来るぐらいの時間が経った後……。

 ゆっくりと立ち上がるハルヒ。これは間違いなく交渉決裂――
 口先や表面上で表す態度では分からない。けど、俺の事を、心の奥では完全に信用していたはずの彼女。
 その彼女が――

「あの日の昼間に何があったのか、詳しい話を俺は知らない」

 しかし、ハルヒ、お前が感じて居たのは「世界を書き換えて仕舞いたい」そう言う、強い感情だったはずや。
 立ち上がり、そのまま回れ右をしようとしたハルヒ。その彼女の横顔に対して話し続ける俺。すべてはありのままの事実。
 但し、それは俺の知っている事実にしか過ぎない。

「俺が水晶宮の方に掛け合って承認させた仕事。それは、夢の世界を通じて異世界への道を開こうとしているオマエの阻止」

 当然、その方法も俺に一任されていた。そう言う約束を交わ
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