第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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涼宮ハルヒの記憶。本来、この世界の涼宮ハルヒがその夜に何か事件を起こした、と言う事実はない。
二〇〇二年。つまり、今年の七月七日の夜に世界は一度歴史を改変されている。より正確に言うのなら、一九九九年の七月七日の夜に歴史を改変させなかった為に、その分岐から発生していた二〇〇二年七月七日までの歴史が、本来の改変される前の歴史に準拠される形で書き換えられた、と言う事。
その歴史。一九九九年にハルヒと名付けざられし者の接触によって起きたと言われる情報爆発。その現象が起こらなかった事により発生したこちら側の歴史では、ここまでの間にハルヒが何か危険な事件――霊的に危険な事件を発生させた、と言う説明を受けてはいない。
それでも尚、彼女は俺との出会いを覚えていた。
そして……。
自然な仕草で彼女が触れている銀の首飾りに視線を移す俺。
そう。彼女はその首飾りを手に入れた経緯もある程度覚えて居る。
……それぐらい彼女に取って俺とのあの夢の中での邂逅は大きな出来事だったと言う事。
「何かムシャクシャした気分のまま眠りに就いて、気が付いたら夢の中に自分が居た。そう言う事だったはずやな」
俺の問い掛けに無言で……更に、非常に不機嫌な様子で首肯くハルヒ。
右手が自然な雰囲気で触れている銀の十字架。その仕草はまるで敬虔な尼僧の如し。
これで表情がもう少し穏やかで、物腰が柔らかなら俺の好みの女性となるのだが。
もっとも、俺の周りには何故か気の強い……こうと決めたら絶対に後ろに引かない少女しか集まって来ないので……。
少し思考が明後日の方向に進み掛け、一度感情をリセット。そんな、理想通りの相手が目の前に現われたとしても、今の俺に出来る事がない事も分かっているから。
何時かは絶対に帰らなければならないから。産まれた故郷ではなく、タバサの住むあの世界に。
「あの夜は今宵と同じ状況やった、と言ったら信用してくれるか?」
今宵と同じ。世界が何らかの危機に晒された夜だったと……。
それも核戦争や、現実的ではないにしても今年の二月に発生し掛けた巨大彗星激突などの物理的、科学的な手段で回避可能だ、と思えるような危機などではなく、非現実的な……。如何にも魔法や邪神が絡んで来ている事が分かるような危機。
「何を馬鹿な事を言い出すのよ」
それに、例えあんたが言う事が事実だったとしても、それと、夢の中であんたが言った内容となんの関係が有るって言うの?
もうそろそろ呆れるか、それとも怒り出すか。そう言う雰囲気を発し始めたハルヒ。どうにも気が短いと言うか、我慢が出来ないと言うか。
もっとも、この辺りの事情。妙に話が長く成って居る事情が、涼宮ハルヒと言う人物に対する評価が、俺たちのような魔法の世界の
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