第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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かえばあの場所……。城跡に存在している庚申塚までならそれほどの時間は掛からないとは思いますが。
それでも、戦闘までに出来るだけ気力は温存して置きたいのですが……。
ただ……ハルヒが俺の手を握って来たのは、今回が初めてかも――
そう考え、その時の彼女の手から感じた柔らかさと、そしてその冷たさに小さくない驚きを覚える。
「何よ、その不満そうな顔は」
振り返った俺。その俺の顔を見つめた瞬間に、ハルヒが発した言葉がコレ。
但し、俺が感じていたのは不満などではなく驚き。それまでは一定の距離を置いて、俺のテリトリー内には絶対に入り込もうとしなかった彼女の方から距離を詰めて来た事と、表面上は現していない、しかし、おそらく感じている不安などを示すかのような手の冷たさに対する驚き。
そして、彼女にすべてを話して良かったのか、と言う後悔……。
彼女が望んだ事とは言え、適当にお茶を濁す方法や、嘘を吐く方法さえあったはずなのに、バカ正直に事実をありのままに伝える必要が本当にあったのか。その辺りをしっかりと考えた上での言葉だったのか、と言う後悔。
振り返り、ハルヒの顔を見つめる俺。
ただ、彼女が真実を強く望んで居たのも事実。そして、嘘が通用しない相手で――
他人に対して思いやりのない人間。自分の事しか考えていない連中の事を嫌っているのは、ハルヒの属性の元となっているシュブ=ニグラスとも共通しているはず。
あの球技大会の決勝戦前に彼女が勢い余って口にした内容。他人がどう考えているのか無関心のヤツは嫌い、……と言う言葉は、へそ曲がりのハルヒとしては珍しく本心からの台詞だったのでしょう。
ハルヒを見つめたまま、少し固まる俺。すべての会話が終わったと思い込んでいた為に、少し不意を衝かれた感覚。
そんな俺を上目使いに見つめるハルヒ。
そして、こう話し掛けて来た。
「最後にひとつ聞きたいだけ。そんなに時間は取らせないわよ」
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