第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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その力をコントロール出来るようにならなければ、何時かはもう一度……いや、俺の感覚からすれば三度目の破滅を招き寄せる可能性が高いから。
会話が終わる。
世界は相変わらず夜の静寂に支配され、冬の属性の風の音すらこの部屋には聞こえては来ない。
さて、それならば。少しわざとらしく左腕に巻いた腕時計に目をやる俺。
俺の準備は出来ている。
それに、矢張りここには居られない。しばらく、彼女一人の時間が必要でしょう。
俺が傍に居て、彼女が気付かないように意識を誘導してやる事も出来ます。ですが、それは流石に……。
俺の仕草に気付いたハルヒがノロノロと立ち上がろうとする。何故か、その時に彼女が発して居たのは強い哀しみ。
理由は分からない。分からないが、このまま彼女を彼女の部屋に帰すのは色々とマズイ。それだけは分かる。
「あ、いや、そんな必要はない」
言葉と、そして、左手で彼女の肩を押さえ、立ち上がろうとするのを阻止。
そして、彼女の代わりに立ち上がり、
「俺はこれから出掛けたら、戻って来るのは明日の朝。その間、この部屋には誰も居なくなるから、ここで寝たらええ」
その方が守り易いから。
少し笑いながら最後に一番もっともらしい理由を付け足す俺。
昨夜、犬神使いの青年に襲撃された理由は、ハルヒの部屋に施してあった全ての結界を……おそらく相馬さつきに解除されたから。そして、今朝にその事が分かってから新しく、より強固な結界を施してはあるのですが。
それでも、それが絶対ではない。
まして、ハルヒの存在が相手に取って重要であればあるほど、彼女に向かって来る戦力は増える。
「一応、かなり念入りに調べたけど、それでも尚、霊道のような物を通されている可能性はある」
巧妙に隠されていて気付かない可能性はゼロではない。昨夜の失敗を続けるのは余りにもマヌケ過ぎますから。
その点、この部屋に関しては問題ない。誰も居なくなったハルヒの部屋には罠を仕掛けて置く方が良いでしょう。
表向きの理由を説明する俺。
裏の理由は……。この部屋は今現在、俺の部屋と言う属性を得ている。彼女の中で俺と言う存在がどのような存在なのか分からない。それでも、俺が彼女に感じている程度の感情を持って居るのなら……。
この部屋で眠るのは悪い結果をもたらせる事はない。
じゃあ、行って来るから。短くそう告げ、そのまま部屋の入り口に向かってゆっくりと、しかし、大股で歩み行く俺。
しかし――
「待ちなさい。未だ、話は終わった訳ではないわ」
何故か未だ呼び止められる俺。不意に捉えられた右手は、強く引かれる訳ではないが、流石に振りほどく訳には行かない状況及び相手。
確かに、俺が全速で向
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