第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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像が俺の脳裏に浮かぶ。
いや、確かに似た経験を俺はしている。但し、その時に俺と意識を繋げた少女……湖の乙女が言う『彼女』と交わした会話の中に、これから話す内容はなかったはず。
大きく深呼吸をひとつ。これから話す内容はそう言う物。何処にも茶々を入れる事の出来ない……世界の命運に直結する重要な話。
正直に言うと、この部分を俺だけの判断で話して仕舞うと後々問題となる可能性もある。そう言う内容。
「ハルヒ、世界……この宇宙はどうやって出来上がったか知っているか?」
彼女に取っては意味不明。しかし、俺としては全部繋がっている内容。
今宵の会話から、あの夢の世界での約束。果ては、異世界の涼宮ハルヒが起こした情報爆発と言う事態すべてに。
そしておそらく、俺と有希。それに、目の前の涼宮ハルヒと言う名前の少女が出会った出来事に付いても……。
「定説ではビッグバン理論。何かが爆発したらしいわね」
それがどうしたって言うのよ。
俺の意味不明の問い掛けに怒り出す事もなく、普通に答えを返してくれるハルヒ。おそらく、俺が一見意味不明な事を言い出したとしても別に茶化している訳ではない、と言う事が分かっているからなのでしょうが。
「易に太極あり。太極より両儀を生じ、両儀より四象を生じ、四象は八卦を生ず」
そこから先にも六十四卦とか三百八十四の爻辞とかが有るけど、その辺りは無視して構わない。
「重要なのは太極から両儀が生じた、と言うトコロ」
相変わらず要領を得ない俺の言葉。もっとも、こんな説明で判れば誰も苦労はしない。
実際、良く我慢をして茶々も入れず、更に怒り出す事もなく聞いているよ、ハルヒは。彼女の整った右の横顔を見つめながら、そう考える俺。
何処からどう考えて見ても、この会話の内容に彼女が求めている答えの内容は含まれていない。
表面上は……。
「お前、あの日の夜、一体どう言う気分で眠りに就いた?」
ようやく、ここまで話しが辿り着いた。但し、ハルヒ本人にはこれでも謎だろう。ましてこのへそ曲がりが、あの夜の自らの心情を正直に答えるとも思えない。
要はあの日の自分の状態を……。あの時に自分が何を求めて居たのかを思い出して貰えれば良いだけ。
あの日は確か……。
小さく独り言を呟き、そして何故か額に縦皺を二本も三本も浮かべるハルヒ。何と言うか、何か思い出したくもない事を思い出しているような表情。
……この日に何があったのか、詳しい説明を俺は受けていない。ただ、世界の書き換えを行うほどの事態に発展するのだから、彼女に取ってはソレに相応しい出来事があったのでしょう。
但し、それは別の世界の
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