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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第131話 太極より……
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 障子と襖により外界との境界が作られ、畳と木の香りに支配された部屋。

 その部屋の中心……。固まったかのように、ただ無言で見つめ合うふたり。まるで夜の静寂がこの部屋にだけ凝固したかのような雰囲気。
 閉じられた障子を背にして長方形のテーブルの、長い一辺のサイドに腰を下ろす俺。
 部屋に備え付けられたテレビを背に、テーブルの短い一辺。向かって左側の一辺に腰を下ろすハルヒ。
 長い黒髪を自然に流し、少し横座りになった姿が……何と言うか、妙に女性で艶めかしく感じる。

 視線はハルヒの瞳に固定したまま。更に、考えている内容がかなり深刻な内容だけに、必要以上に強い瞳で見つめていたような気もする。
 俺の視線を受けて、一瞬、怯んだかのようにハルヒが視線を外し、その微かな動きで背中まである長い黒髪がふわりと揺れ、胸元に光る銀が蛍光灯の光を反射する。
 但し……。
 但し、それも一瞬の事。まるで、俺の視線に怯んだ事が恥で有るかのように、彼女自身も俺と同じような瞳で見返して来た。
 一瞬の空白。俺と彼女の間では珍しい静寂の空間。
 ……いや、これは睨んでいる訳ではない。おそらく真剣な表情と言うヤツ。

「ねぇ、ひとつ聞いても良い?」

 ゆっくりと、一音一音を区切るように発音するハルヒ。但し、当然のように、その中に揶揄するような雰囲気はない。ただ少し気に成るのか、顔に掛かる長い髪の毛を少し掻き上げては後ろに流す。こんな動きを繰り返している。
 成るほど、何となく伝わって来る物があるな。

「あの夜、あんたの言った事の意味を教えて欲しいの」

 あの夜……。彼女の言葉の中で一番明瞭に発音されたのはこの言葉。
 今の俺に、ハルヒを相手。それも夜に重要な会話を交わした記憶は、……昨夜交わした内容ぐらいしか覚えがない。しかし、その時の会話の内容を問い返して来た訳ではないだろう。

 あの夜と言うのはおそらく、ハルヒが世界を再構成しようとした夜。その時に、異世界同位体の俺と有希が彼女の夢の世界へと侵入して――
 その際に、俺とハルヒが【指向性の念話】によって何か約束を交わしたらしい。

 そう。交わしたらしいのだ。但し、その詳しい内容までは資料には記載されては居らず、また、【指向性の念話】であったが故に、有希もその内容までは知らなかった。

 成るほど。やや自嘲的な溜め息を心の中でのみ吐き出す俺。
 何故ならば、この期に及んでも尚、俺は彼女から完全な信用を得られなかった、と言う事ですから。
 それだけ強く、俺の異世界同位体はハルヒから信用されて居た、そう言う事なのかも知れないのですが……。

 一瞬、何かを考えるかのように瞳を閉じる俺。手は自然な形で自らの左胸に。
 その瞬間に、何故か自分で経験した訳でもない夜の映
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