八節・“主君” への扉を開ける
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んでくれ。……グザは中距離からのタゲ分散と、行動妨害をたのむ。気を見て俺が割り込むから深追いはしないでくれよ」
「あいよ、任されたわな」
鉄の扉に向き直った二人の横顔に、キリトは数秒の間視線を向け続ける。
アスナの“何処でどう死のうが早いか遅いかだけの違い” という考えは、実はキリトもグザから多少文面を変えたモノを聞いていた。
その言葉に対してキリトは、グザとはまた趣が違えども、しかしそれを証明させる訳にはいかないと同じ事を想った。
何より、彼女の剣技の腕は【リニアー】一本で迷宮区上層まで上がったことが、何の疑いも無く示しており、加えてフードに隠れて見えずとも確かに整った容姿も含めれば……この戦いで生き残る事さえできれば、きっと攻略組を照らす光にもなり得ると、キリトはそう考えているのだ。
またグザは特異な見た目やしゃべり方が災いするモノの、卓越した槍術にそれなりの頭脳はキリトも経験済み。
本人の意向がどうなるかは知れないが、それでも参加さえすれば攻略組を引っ張っていける一人にも、もしかしたら成れるかもしれない。
(それは……一般プレイヤーに恨まれる存在な俺には―――特にアスナの在り方なんか、到底成果たしえないものだしな……)
心の奥深くで、キリトはそう考えている。
……己の決意を胸に前を向くのと、ディアベルが整列させ終えて門前に並ばせるのは同時だった。
ディアベルは無言のまま剣を高く掲げ、皆もそれに同調して己の得物を掲げた。
「……」
頷いたディアベルの顔からは、もう既に笑顔は消えている。
そのまま反転し、扉に手を置き……
「行くぞ!」
大扉を押し開け、傾れ込んでいった。
(ここまで、広かったか……?)
キリトがボスフロアを覗いて、まず抱いた感想がそれだった。
彼の知るベータ時代と無い層自体は其処まで変わっていないものの、横幅が若干増して縦幅に至ってより長くなっているようだとも、キリトは目測でそう感じていた。
更に10mは余裕で離れている一番奥側には、明らかに常人が座る目的で作られていない、高さ4mはある背もたれを持つ玉座が置かれている。
そして皆が抱くだろう「人間なんか座れないのではないか?」と言う疑問通り、その玉座に腰かけているのは―――――人間などでは決してない。
人に似てはいるし、人の身体は持っている……だが身長が高すぎる。
頭部が違いすぎる。
その3メートルは余裕である体躯の上に乗っているのは、血色の相貌とナイフの如き牙を持つ『猛狗』の顔。
脳天を守るヘルムアー
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