八節・“主君” への扉を開ける
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階層が中腹あたりであった事や、まだ支持の伝達が不完全だった事もあり―――不幸かな、その後は一体も後ろから襲いかかってくる事が無く、あれよあれよと言う間にボス部屋の前までたどり着いてしまった。
(何で―――何で決意した時ばっかり隠れるんだよ!?)
……今すぐにでもキリトはそう叫びたかったが、POPまでの時間ならまだしも、湧く場所はシステムが人数やこれまでの行動パターンで決めているので、当然一プレイヤーには抗う術もない。
(ま、まあ一応言う事は言ったし……ちゃんと聞いてくれる事を願うか? それとももう一回言うべきか……?)
多少ながら情けない思いを胸に抱きつつも、さすが切り替えは出来ていると言うべきか…………ボス部屋の扉を見た途端、キリトの目は鋭い物へと変わった。
大抵ボスに関係ある要素がレリーフされているのだが、第一層は情報通りコボルドの王を閉じ込めていると言う訳なのか、何処か恐ろしげな獣頭の亜人が彫られている灰色をした石造りの扉だ。
コボルドと言えば、一般的なRPGゲームでは座子もいいところの弱いモンスターであるのは、ゲームをやった事ある者なら自明の理。
されどこのSAOに置いて、コボルドは亜人種系モンスターだと言うだけで侮りがたい相手となっている。―――此方の理由も単純で、このSAOで重要な要素足る【ソードスキル】を使えるからだ。
通常攻撃は単純にも程があるが、こと【ソードスキル】となればモンスター専用のモノすらあり、時にそれらは予想の外をついてくる。
何より通常攻撃を遥かに引き離す威力、スピード、命中補正を付与される【ソードスキル】は、初級基本技であろうが……極論、防御態勢を取らずクリティカルを喰らってしまえば、それこそ尋常ではない量HPを持って行かれる。
自暴自棄に近かった上、ネトゲはおろか剣術すら初心者のアスナが、細剣と【リニアー】たった一つで迷宮区の上階まで上がった事が、充分に恐ろしさを物語っていると言えるだろう。
(時間は、まだありそうだな)
ディアベルが前方で隊列を直したり改めて作戦を伝えてはいるが、オミソな所為で整列とは無縁なキリトはチャンスとばかりに、もう一つ伝えておくべき事を伝えるかと後ろで待機しているグザをハンドジェスチャーで呼ぶ。
「……ちょっといいか?」
グザが傍に寄った事を確認して、今度はキリトが横へいたアスナの方へ若干身を寄せ、声をひそめながら話しだした。
「今日の戦闘で相手する『ルインコボルド・センチネル』だけど、扱いが取り巻きのザコなだけで十分強敵だ。頭と胴体の大部分を鎧で覆っているから―――」
「貫けるのは喉元一点だけ、でしょ」
「その通り。俺が武器を跳ね上げるから、その隙に打ち込
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