八節・“主君” への扉を開ける
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のであり、特に柔軟に限っては身体が1と0で出来た“アバター”であるし、キリトもアスナもやろうと思えばやれるだろう。
(けど慣れてなけりゃ、あんな動きは出来ないだろ……何者なんだよ本当に)
だがそれはあくまで、動作が出来るか出来ないかの問題であり、今のように現実で実行するとなればまた話は違ってくる。
命を失いかねない戦闘で冷静さを保ち、GAMEで剣を振るぐらいでは見に使ない技術を持つ―――それはベータテスターではなく、さりとてゲーマーでもなく、アスナの様な人間ともまた違う。
彼の実力自体は有りがたいので、キリトは表立っては何も言わないが、内心積み上がる疑問でモヤモヤしているのは最早言うまでもない。
(まあ気になるは気になるけども…………さて)
ともあれ戦闘を終えた二人に、キリトは近付いていった。
「グッジョブだ二人共……あと、グザ。一ついいか?」
「何だい?」
「グザの持っている両手槍はさ、本来デバフ付きソードスキルでの行動阻害や、中距離からの小刻みな妨害でヘイト値をコントロールするのが役目となる武器なんだ。だから勝手に飛び込んでいくより、他のパーティーにも任せて俺達の援護に回ってくれると嬉しいかなー……と」
実際の所を言えば全く援護していない訳でもなく、此処までの敵ならグザ一人でも倒せており、加えてアスナとのコンビ間、キリトも含めたチーム間でも別段戦闘に支障は無い。
事実、不意打ち気味に襲った来た際、グザは単独で見事対処して見せた事もあった。
その事からキリト自身も多少は苦々しく思い、されど閉ざしたままではいられないか発案したらしい。
何せSAOはVR“MMO" であり、更にこの後控えるのはフロアボス、連携は大事となってくる。
グザとて其処まで好き勝手に行動したりはしないだろうが、さりとて何も考えず攻撃しても、連携を崩す可能性が首を擡げてしまう。
ならば、せめて三人内での連携と武器の役割ぐらいは、ある程度グザに守って貰おう……それがキリトの考えなのだ。
「ふむ……」
幸いなのかグザはさして嫌な顔もせず、寧ろ真剣な表情で(パイプは吸ったままだが)キリトの案を聞き入れ考えている様子。
またも前方で戦闘がはじまり、ライトエフェクトにサウンドエフェクト、ダメージエフェクトが飛び交い始めた時。
グザは答えを出したか、ゆっくり口を開く。
「OK、分かったわな。状況状況で判断しようじゃーないのよ」
「……ああ、ありがとな」
年上だからこその度量か、それとも本人が其処まで必要無い時は複雑に考える方でじゃあないのか、肯定的な返答を貰ってキリトは内心ほっと溜息を吐いた。
しかし……
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