八節・“主君” への扉を開ける
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り付けてコボルドへ驚愕の叫びをあげさせた。
「オオオオオォォ!?」
「よし……!」
軽く拳を握って、キリトがガッツポーズをした―――
「ヒャオアッ!!」
「いっ?」
―――その横から奇声を上げて、一つの“影”が瞬く間に通り過ぎていく。
確認するまでもない……グザだ。
「シィィアッ!!」
前に傾いたコボルドの頭目掛け、高身長を活かした膝蹴りで真上に打ち上げた……が、音こそ物々しかろうと、当然コレはスキルでもなければ武器使用でもない無手攻撃。
幾ら聞こえる衝撃が重くても、効果やダメージ自体はたかが知れている。
やはりと言うべきか、大してノックバックもしなかったコボルドは三度槍を構え、残存HPの量が少ない所為かより迫力を増した穂先を突き出してきた。
「よっ」
瞬間、なんの脈絡も無くグザの身長が一気に低くなり、槍の穂先が後頭部ギリギリを掠める。
思わず目を疑ったキリトだがすぐに原因が判明した。
彼は屈むのではなく、見事な柔軟性を発揮して前後に開脚、更に体を若干傾け頭狙いのスラストを避けたのだ。
「ジェアアアァァッ!!」
怒った様に雄叫びを上げ二度繰り出された追撃も、一発目は後ろに思い切り反って、二発目は上半身を曲げ反時計回りに動かして難なくやり過ごす。
そこから槍を放り投げれば、開脚したままにカポエイラの如く逆立ち回転蹴り。
勢いで立つどころか飛び上がり、フロントキックを決めて背後にポーズを取りながら着地した―――その手に槍がスポッ、と収まる。
「オォラアァァッ!!」
槍を中心近くから弾かれたせいか、コボルドの体勢は万歳の様になり、間抜け且つ隙だらけだ。
当然容赦の欠片もなく、緑色の鋭い光線を残しながら【ツイン・スラスト】による二連突が喉を抉る。
そして……コボルドの動きが不自然に硬直した刹那、体を青白い無数のポリゴン片に変え空中へ霧散させた。
「ハ〜イ終了、っと。さっきまでお前さん達が倒してたし、オレちゃんが持って行っても良いやね?」
「……まあ状況的にも文句は無いけどさ」
「せめて実行する前に言いなさいよ、ソレ」
「おぉう。当たり前たぁいえ、こりゃ手厳しいねぇ……ヒヒハハハ」
笑いながらパイプをくわえ直すグザと、冷静を装いくだらない与太話を続ける傍ら、内心でキリトはまたも感嘆を抱いていた。
先に行われた柔軟回避からのアクロバット跳躍に、槍ジャグリングに繋げたソードスキルフィニッシュは、何度も反復させて己の身体に叩き込まなければ到底成し得ない技術だ。
一朝一夕で実用性を得られるものではない。
されど、誰にも出来ない特許技術クラスでも無い
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