八節・“主君” への扉を開ける
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迷宮区へ到着し、ディアベルを中心とした攻略レイド一行をまず待ち受けていたのは……やはりモンスター。
大人数だからか普段は滅多に湧かないタイプのMobに、予想外の方向からの奇襲もあり、プレイヤー全員がレベル的な安全圏を通っているとはいえ、ヒヤリとさせられるのにはまず間違いないだろう。
だが、ディアベルの指揮能力は中々の物で、違うレンジの武器の交代のタイミングも、スイッチのタイミングも完璧だった。
勿論最初からそうではなく、失敗とはいえずとも小さなミスを犯す事もあったが……ディアベルの能力は、キリトが “盛り上げ過ぎではないか?” という危惧を抱いたのが、余りにもマイナス方向へ先走り過ぎていると言われても、キリト本人すら仕方ないと思える程に高かった。
キイィン! と甲高く、もしくはガキン! と重厚に、前方で湧いた近接戦闘主体タイプのコボルドがプレイヤー達と激しく武器をぶつけ合う、その音が響く傍ら―――
―――否、遥か後方。
「よし、良いぞ! スイッチ!」
「っ……! やああぁぁっ!!」
キリトを一応のリーダーとして逸れ者のイロモノ三人パーティーもまた、少ないながら迫りくるモンスター相手に戦闘を行っていた。
ノックバック効果のあるスキル、及び重さのある攻撃の後に生じる隙を利用し、割り込んで行くのが “スイッチ” という名のテクニックで有り、アルゴから教えてもらっていたアスナも淀みなく実行できた。
更にこの“スイッチ” の利点として、最初はターゲットが変更されていない事を利用しての大胆な攻めが可能という点。
そして細かい攻撃を重ねてヘイト値を重ねターゲット移動すれば、パートナーに対しての決定的な隙作りが出来る点にある。
割り込んで邪魔をすれば自ずと相手のパターンも限られ、武器属性が違うならAIに負荷もかけられ、良い事は多い。
しかし一方で、モンスターが強引な攻めを展開してきた際など、中々実行に移せない場面も多々あり、万能な手段ではない一長一短なモノなのだが、それは仕方ないだろう。
「『フルルルルゥ……ッ!』」
槍を用いて中距離から攻めてくる『コボルド・スピアウォリアー』に対し、アスナはその直線的な突きをステップで避け、
「はああっ!」
すぐさま接近し細剣スキル基本技【リニアー】を打ち込む。
凄まじいスピードはキリトの目に切っ先を映させず、ただ純白の光が刺突の残身となって尾を引く。
「『フグルルル!』」
「甘い、ぜっ!」
コボルドのターゲットがアスナへ移り、敵意の満ちる瞳と鋭利な槍を突き付け――――しかしそれはキリトに隙だらけな姿を向ける形となる。
それ見て彼もまた駆けより、背中を斬
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