2話 情が消えた狂暴(バーサーク)
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から遠ざける。勢いを殺せずに、リーナにまたがった。
「カリヒさん?どうしました…」
彼女は涙目で少し怖がっているようだ。僕は彼女の顔を見て我に返る。
「ご、ごめん!」
僕は彼女から離れる。
「だ、大丈夫です…」
彼女は僕の左手に付いている血、頭から上半身にかけてい付いた返り血を見て困惑し、死体を見て嘔吐した。
「だ、大丈夫?」
「こ、これ…カリヒさんが…やったんですか…」
彼女の表情は僕を憐れんでいる。
「…ああ。僕がやった」
彼女は沈黙する。
「…」
僕はリーナに向けての言葉が見つからなかった。しかし、自分を伝えることは出来るだろう。それが彼女にとってどれだけ残酷な…それは僕にとってどれだけ酷い仕打ちだとしても報いとして受け入れよう。
「僕には奴隷時代からの殺戮願望が有った」
彼女の目は一瞬険しくなったが、すぐに情にあふれたいつもの目に戻った。
「カリヒさんはいつもそれを押し殺していたんですね」
やつれた顔でにっこり笑うリーナ。彼女は聖女のように僕を抱擁した。
「今まで、辛かったですよね?」
僕はもう理性を切り捨てた。彼女の抱擁に甘え、求めた。
撤退後、僕たちは第八部隊の拠点に居座らせてもらっている。彼ら第八部隊は8人の小編成で、武器も全然持っていないグループである。
しかし、諜報部と言うこともあり、SRAの情報だけでなく、アメリカの動きやその他の国の経済情勢、株などを取り仕切っていた。
「カリヒ隊長。上層部に、先ほど起こったことを報告いたします。抽象的で良いので、説明してください。」
僕はもう眠かった。報告は明日にして欲しいところだが、この堅苦しい男、フェンドはまず報告が先と言って、僕を眠らせてくれない。
「攻めてきた敵を撃退した。建物が無くなった。第八部隊と合流した。情報が漏れている。以上」
「わかりました。報告をします」
僕はやっと仕事から開放され、もう日が昇っていた。
第3部隊カラーズのメンバーは林の中に在るテントで雑魚寝している。
僕もその後、寝た。
「カリヒ隊長!」
「何だ?」
フェンドは資料を持って、寝起きの僕に差し出してきた。
「上層部から命令が下りました!」
僕は身体を起こし、資料を眺めた。
資料というより。手紙や伝令に近かった。
『第三部隊隊長 矢渕カリヒに次ぐ
第八部隊隊長を第三部隊の傘下に置く。それから3人の人員をそちらへ向かわせている。
3ヶ月後、2901年9月3日に、矢渕カリヒ、アーシャ・K・東、リーナ・カーミを第零部隊と任命する。それまでに、残りの兵を強化せよ。』
「何だこの上から目線のクソ伝令は?」
僕はガラガラ声のまま、ぼそっと呟く
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