6部分:第六章
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第六章
学友達はだ。そのシェフについてだ。こう話したのだった。
「芸術家だからね」
「そうだよね」
「シェフって芸術家だから」
「普通だよね」
これがだ。彼等の言葉であり考えだった。それを聞いてだ。
一希はだ。まずは自分の祖国の話からするのだった。
「日本じゃそうした話もあるけれど」
「じゃあわかるんじゃないの?」
「違うの?」
「日本でもそうだと」
「けれどオーストリア、いや欧州って違うじゃない」
一希はまた話した。
「貴族の人って。自分で料理とかしないんじゃ」
「だから。芸術じゃない」
「料理は芸術じゃない」
「お菓子やコーヒーを作ることもね」
「料理は芸術、だからなんだ」
そう言われるとだ。一希もようやくわかった。
それでだ。彼は思案する顔で述べたのだった。
「じゃあフォーゲルヒルデさんは」
「そう、芸術家を目指してるんだよ」
「そういうことだよ」
「画家や音楽家と同じなんだね」
一希はこう言った。
「そういうことなんだよ」
「そう、そういうことだよ」
「つまりはね」
「フォーゲルヒルデさんはそうなんだよ」
「これでわかったよね」
「わかったよ。そうなんだね」
こうしてだ。彼は納得したのだった。そしてである。
あらためてだ。学友達に話した。
「そうした意味でフォーゲルヒルデさんは」
「本当のフロイラインっていうんだね」
「そう言うんだね」
「そうだよ。本当にそうだよ」
今はだ。にこにことしている。そうしての言葉だった。
「あの人ってそうなんだよ」
「おっ、噂をすれば何とやら」
ここでだ。一人が教室の入り口に顔を向けて笑顔で述べた。
「来たよ、そのフロイラインがね」
「そうだね。フォーゲルヒルデさんがね」
「来たよ」
「芸術家が」
「うん、来たね」
一希も笑顔で話す。
「それじゃあ」
「それじゃあ?」
「それじゃあっていうと?」
「ちょっとね」
彼は笑顔で立ち上がってだ。そうしてだった。
空いている席に座ろうとしていたエリザベートの前に来てだ。こう声をかけたのだった。
「あの、フォーゲルヒルデさん」
「はい、何でしょうか」
「よかったらです」
「よかったら?」
「また。御願いします」
顔を赤くさせた。どうも照れ臭い。しかしそれでも言うのであった。
「貴女のお菓子とコーヒーを」
「その二つをですね」
「芸術を見せて下さい」
こう言うのであった。
「そうさせて下さい」
「はい」
そしてだ。エリザベートもだった。
優しい気品のある笑みでだ。こう答えたのだった。
「芸術かどうかはわかりませんけれど」
それでもだとだ。こう言ってであった。
「貴方が宜しければそれで」
「はい、それじ
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