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新オズの腹ペコタイガー
第一幕その七

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「けれど今は」
「その虎がいるのね」
「そうです、あの虎は」
「確か阪神タイガースだったわね」
「私阪神好きなんですけれど」
「いつもなのね」
「ここぞっていう時に負けるんです」
 そうしたチームは沢山スポーツチームがある中でやっぱりあります、そしていつも負けてしまうのです。
それもここぞという時に。
「困ったことに」
「弱い訳じゃないわよね」
「普段は強いんです」
「けれどここぞって時に」
「負けちゃうんです」
「腹ペコタイガーさんと全然違うわね」 
 トロットはそのチームのことを聞いて言いました。
「タイガーさんはここぞって時に凄く強いから」
「もう凄いですよね」
「臆病ライオンさんと同じでね」
「ピンチに強いですね」
「勝負強いのよ」
 腹ペコタイガーはというのです。
「普段はいつも食べたい食べたいだけれどね」
「皆のピンチの時には強い」
「そうでしょ」
「はい、けれど日本の虎は」
「チャンスに弱くて」
「今年もなんです」
 その緑と黒の縦縞の虎のぬいぐるみを見ながらぼやくのでした。
「負けました」
「そうなのね」
「ヤクルトが優勝しました」
「燕だったわね」
「そうです、スワローズです」
「虎が燕に負けるのね」
「日本だとそうなんです」
 他の国の虎と違ってです、日本の虎は燕に負けてしまうのです。
「あと鯉にも弱いです」
「腹ペコタイガーさん鯉好きだよね」
「大好物の一つだよ」
「一番美味しいお魚の一つって言っててね」
「よく食べてるね」 
 四人もその可愛いぬいぐるみを見ながら言います。
「特に凄く大きい鯉をね」
「お刺身とか揚げたりしてね」
「鯉こくも好きよね」
「とにかくタイガーさん鯉も食べるよ」
「それでもなのよ」 
 恵梨香は日本の虎のことをお話するのでした。
「日本では負けちゃうのよ」
「虎が鯉に負けるって」
 ハンクも首を傾げさせることでした。
「それで燕にもだよね」
「そうなのよ」 
 本当にというのです。
「阪神はね。どうにかならないかしら」
「巨人には勝つのよね」
「そういう時もあるんですけれど」 
 それでもというのです、トロットにも。
「これが」
「ファンとしては困ったことね」
「はい、とても」
「阪神の優勝見たいわよね」
「毎年思ってます」
「けれど見られたことは」
「殆どありません」 
 今度は項垂れた恵梨香でした。
「もっともっと強くなって欲しいのに」
「そうなのね、けれどね」
「はい、このぬいぐるみはですね」
「買いましょう」
 こう言うのでした。
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