第3話
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いた頃よりもいま、暑苦しい少年といる方が楽しいことに気が付く。諦めず努力をしていても、その努力が実るどころか、アカデミーを卒業できるのかもわからない。それでもまわりの声に流されず、ただひたすらに現状を耐え忍ぶ姿は、とても眩しく心揺らされる。テンテンはいつか目の前の彼が立派な忍になることが夢の一つになっていた。
アカデミーが始まれば今までと何も変わらない時間が過ぎる。教室で授業を受け、体術や忍術、座学を学ぶ。側にいる友人たちの姿は異なっていても、異なっているからこそ、今の方が充実していた。
そして、アカデミーは終わる時間が来る。家へ帰ってきた彼女はいままで通りベッドにダイブする、ことはせず父親が営む忍具家へと足を運ぶ。
「父さーん! きょうは何を手伝えばいい?」
「そこのクナイを片付けてくレ!」
「了解! ここね!」
「それが終わったラ、次は倉庫の整理を頼む!!」
家へ帰ってから、アカデミーの疲れや復習を言い訳にいままで一度も父親の手伝いをしたことはなかった。あっても休日や時間が余っている日だけだ。たった一人で店をまわす父親が大変だということは知っていたのに。
そんな父親に甘える時期はもう過ぎた。見てみぬフリもしない。目指す先があるから。
「ふひ、ふひひひひ」
そう、強い決意を心の中に定めた少女は父親の手伝いが終わった後、倉庫で一人、ニヤニヤしていた。父親の手伝いをするようになってから、どこかおかしな方向へ進み始めている彼女を、誰も知ることはなかった。
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