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忍具を扱う少女
第3話
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ど自分が節穴なのかを知らされた気分だった。
 あの日以降、彼女にとって忍とは『忍の心得』に書かれた言葉そのものとなった。そして、忍ですらないただの少女たちと関係を絶つことはまだ完全に割り切ることができない少女にとっては辛いものだった。

「あの、おはようございます!」
「あら、ヒナタ。おはよ」

 友人だった者だけが彼女の周りにいるわけではない。いまの彼女にとっては辛い過去よりもいままわりにいる人たちが大切だった。
 この目の前でもじもじしている少女も、いま彼女が大切にしている者の一人である。白みがかった特殊な瞳を持つこの少女の名前は日向ヒナタ。テンテンと同じ学年にいる天才と呼ばれる少年と同じ一族、日向の少女である。
 白眼と呼ばれる血継限界を持つ日向の一族は、木の葉隠れの里創立から続く長い歴史を持つ名門の家だ。そして名門日向と呼ばれる彼女の家は歴史だけでなく忍としても大きな力を持つと聞く。同じ学年の天才少年をみればその実力には納得がいくが、目の前でポーッと笑う少女をみると首をかしげてしまうのだから同じ一族でも良し悪しだろう。

 ヒナタと別れたテンテンはいままでであればそのまま教室に入り、友人と呼んでいた少女たちと会話をして時間を潰していただろう。しかしいまではもうクラスにそんな友人はいない。教室の代わりに彼女が向かったのはアカデミーの裏手にある庭だった。

「うぉぉぉぉおおお!! 六百八十九! 六百九十!!」
「リー、朝からそんなに体力をつかっていたらまた授業寝ることになるわよ? あんた、あまり成績よくないんだから体術以外もやることやらなきゃ」
「テンテン、おはようございます! ですがボクはお勉強する時間はないのです。もっともっと頑張らなくては!! 六百九十八! 六百九十九! 七百!!」

 アカデミーの裏手で、朝から暑苦しい声をあげながら腹筋をしているのは額にハチマキを巻いた太めの眉の少年、ロック・リーである。一つ下の学年ではうずまきナルトがおちこぼれとしてよく知られている。しかし才能という一点でみればこの学年の落ちこぼれ、ロック・リーはナルトにも劣る。彼は忍術をつかうことができない。日々努力を重ねているとはいえ体術も他のアカデミー生と変わらない普通レベル。
 諦めずに努力する彼を多くの者が能無しと馬鹿にし、無駄なことだと蔑んだ。

「はい、タオル」
「ありがとうございます。ちょうど時間もいい頃ですし、一緒に教室へ行きましょうか」
「いやいや、あんた汗かきすぎでしょ。わたしたタオルがびしょびしょじゃない! 一度着替えないと風邪ひくわよ!」
「はい、わかりました!」

 ビシッと敬礼するように素直に返事をするとともにリーから暑苦しい汗が飛ぶ。その様子を見て大きく距離をあける。そして、いままで友人たちと一緒に
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