5.『歯車』
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を“読むこと”が好きなのだと思っていた。文字を見て、絵を探して楽しむというのが、子供の“読書”なのだと推測したからである。
しかしそれは大外れであった。
東は本を読むだけの知識があり、さらに能力『あらゆるものを見抜く程度の能力』を応用することによって、どんな言語であろうと、文字自体は読めなくても内容を理解できるのである。
「(ここにあるのは、おそらく全部洋書だな。バレないように暗号が散りばめられているようだけど、僕には通じない。……これは、水と火の魔法を組み合わせた実験記録か)」
東は、魔法を使おうとは思っていなかったが、いざ戦闘になった時に役に立つ可能性があったのでひたすら読み続けた。
東は自覚していないが、彼の学習能力と暗記力は優れていた。
「へぇ……洋書がそんなに面白いのかしら」
もう、かれこれ三時間が経とうとしていた。
その時。
「東ぁ〜っ!」
「ふぇ!?」
どこからか、フランが東に抱き着いてきた。
一見なんてことない微笑ましい光景。
しかしパチュリーの目は、違和感を見逃さなかった。
「(その気がないとはいえ、なぜあの子のホールドをあんなまともに喰らって何のダメージを受けない?そこそこ頑丈な妖精メイドでさえあれを喰らったら弾け飛ぶのに)」
紅魔館の頭脳とも言われるパチュリーの思考は、そこで止まった。
諦めたのではない。
東のことを調べようとした途端、考えていたことがすべて消え去ってしまったのだ。
「あの子……一体、何者なの?」
東は、黙々と本を読み続けた。
真っ白な紙に塗りつぶされたアルファベットを見つめてはすぐにめくり、めくり、また一冊読み終えた。
そしてまた、違う書物を取り出し、読む。
パチュリーは今までに感じたことのない奇妙さと恐怖を覚えていた。
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