5.『歯車』
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「……」
「ふにゃ〜……」
東はナイフ地獄を見て、あまりに予想外の事態に混乱して失神していた。
しかしメイドは攻撃は続けた。ナイフの形状をしてはいるが、弾幕の一つにすぎないため当たったところで死にはしない。
「(さすがに、やりすぎかしら、まだ幼い子供相手に……。しかし、お嬢様に何かあってはいけない。これで一応、この子が安全であることはわかる。あぁ、嫌われたかしらね。……。……!?)」
攻撃が終わって、あることに気付いた。
降り注いだはずのナイフが、すべて東を避けていたのだ。
しかしメイドは特に気にすることなく、むしろ感心していた。
「……。……なるほど、身を守るためのなにかしらの能力は持ってる、ということね。それぐらいなきゃ、ここで生きていくのは無理ですものね。一応、合格ということにしておきましょうか」
メイドは、まったく気付いていなかった。
東の能力は、二つある。
一つは、あらゆるものを見抜く程度の能力。
もう一つは、あらゆるものに見抜かれない程度の能力。
どれも発動していなかったのだ。
あるいは、どれかの能力が応用されていたのかもしれないが。
どのみちその二つの能力には、とてつもなく大きな根があることを東も知らない。
歯車は既に動き始めていた……。
「ほら、起きなさい。こんなところで寝てたら風邪ひくわよ」
東が気を失ってから最初に聞こえた声。
それは、レミリアのようなカリスマある声ではなく、フランのような無邪気な声でもなく、もっと落ち着いた、いわば知識人のような声だった。
目を開くと、寝巻きのような恰好をした少女がいた。片手には分厚い本を持ち、羽の生えた赤毛長髪の少女を連れている。
「んぅ……」
「さっきレミィが言ってた子かしら。……あら、手が冷たいわね。紅茶でも飲む?」
廊下は風通しがよく、冷えていた。たしかに寒かったので、言葉に甘えてこくりと頷いた。
「(この人は……いや、まだ判断材料が足りない。レミリアの友人だということはもう口ぶりからわかるが、それ以外はもう少し様子を見よう)」
少女、パチュリー・ノーレッジは「案内してあげる」と言って歩き始めた。
何百歩と歩いたところでようやくたどり着いた。
「けほっ……。……ここよ、どうぞ」
「失礼しまぁす……」
大きな扉を開けると、本棚がずらりと並んでおり、まさに書物の宝庫と言えた。
「(こんな大きな図書館があったとは……!しかしこれは、知識を取り込んで色々と活かせるチャンスかもしれない!)」
「すごぉい!本がこんなにっ!」
「あら、読書好きなの?」
「うんっ!」
「いい趣味持っているわね。何見てもいいけど、汚したり破いたりしちゃだめよ?」
「はぁい!」
パチュリーは、おそらく本
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