一発ネタ
テイルズオブ転生者
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父ちゃん、母ちゃん、かわいい兄弟たち……俺なんかに希望を託してくれたデリス・カーラーンの皆。
そして、かわいい俺のフィアンセ。
俺がんばったよ。いっぱいいっぱい頑張ったよ。
あと少し、あと少しの辛抱だからね。
俺はそっちに行けないけれど、皆の幸せを願ってる。
俺の願い…みんなの祈り…俺はまだ戦える!
◆
それは神々の戦いだった。極大魔法が飛び交い、光の矢が降り注ぎ、精霊が力を振るい、そして――時空を切り裂く剣技が舞う。
彼らのパーティーに相対するのは、たった一人。世界を滅亡させんとする魔王だった。
彼も負けていない。レーザーを放つと、時を止める。それでも敗れた。
「気を付けて、ダオスはまだ死んでいない!」
「神よ! 母なる星デリス・カーラーンの神よ! 我に力を! 我に力を!」
人の姿で敗れると、巨大なモンスターの姿になってまで抗戦した。そして、最後は、白い羽を生やし、天使のように天空を舞った。
なんという魔力だ、とハーフエルフの少女アーチェ・クラインは思う。
同じ魔法を使う身として、あれだけの魔力を制御するなど、人間業とは思えなかった。
そして、この魔力、星の魔力。果てしてよこしまな人間に、星の神が加護を与えるのだろうか?
何が彼をこうまで駆り立てているのだろう。
「私の願い…民の祈り…私はまだ戦える!」
リーダーの剣士クレス・アルベインは、戸惑っていた。
時空を切り裂くほどの超一流の剣士として成長した彼が、戦いの中躊躇することはない。
しかし、内心違和感を感じていた。こうして切り結んでいても、邪悪な気配を感じないのだ。剣を交えれば、相手の感情がわかる。彼はその境地に達していた。
目の前のダオスからは、世界を滅ぼすどころか、世界を救いたいという切実な願いを感じ取ったのだ。
国を滅ぼされた。故郷を焼かれた。ダオスは悪事を働いている。多くの悲劇を生んだ。
けれども、無関係な人間を巻き込まないようにしていることにも気づいていた。
「わ、私は死ぬのか」
心優しき治癒師ミント・アドネードは、尋ねた。
彼の本当の目的は何なのかを。異なる星デリス・カーラーン。滅び。魔科学の危険性。大いなる実り。
それに激高するチェスター・バークライトの反応も当然だ。ダオスがこのアセリアで多くの人間を犠牲にしたのは事実なのだから。
目の前で両親を操られ殺された藤林すずのような人間だっている。
パーティーの最年長であるクラース・F・レスターは、瞑目していた。
彼とて、ダオスのちぐはぐさには気づいていた。お互い譲れないものがある。
どちらが正義で、どちらが悪なのかは、相対的なものなのだろう
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