暁 〜小説投稿サイト〜
豹頭王異伝
曙光
老帝の祝福
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
スへ御越しになる。
 此の国は滅びないぞ、俺達の手で必ず復興させるんだ!
 モンゴールの為に!
 モンゴールの為に!!」
 誰からとも無く洩れた呟きは、瞬く間に居合わせた全員に広がった。
 何時しかトーラス全市を包む、巨大な唱和の声と化した。

「ふうん。
 何の裏も無い贈り物に値するのは、ダンだけじゃなかったんだな。
 此の街はもう、殺す者に命脈を絶たれた筈なんだけど。
 何とか出来る、かもしれないな」
 故郷≪ふるさと≫を愛する想い、恩賞代償を求めぬ人々の祈りを聞いたのかも知れぬ。
 たそがれの精霊、ジンの呟きが風の中に消えた。

 新たな息吹に満ちた新生ゴーラ王国の新都、イシュタールの北に位置する小さな搭。
 クリームヒルドの塔では魔道師に伴われ、2組の来客が到着しアムネリスの許を訪れた。
「まぁ、アレン御姉様!
 海から遠く隔てられた此の場所まで、駆け付けて来てくれるなんて!!」
「アムネリス、可愛い義妹!
 元気な貴女と赤子の顔が見れて嬉しいわ!!」
「本当に良い御子ですよ、私をお側にお呼び頂いたからにはもう大丈夫ですからね!
 風邪ひとつ、ひかせやしませんとも!!」

「頼もしいね、私も大船に乗ったみたいに安心して見ていられるよ。
 パロの魔道師が現れた時には何事かと思ったけど、来て良かった。
 アムネリスが援けを必要としていると聞いて、兄が止めるのを振り切って来たのだけれどね。
 此方の娘さんは双子を産んだのかい、小さな体で大したもんだね!」
「羨ましい、私も今度は双子が欲しいわ。
 女の子を2人、もう名前まで決めているのよ!」
「へぇ、気が早いね!
 何と云う名前か、聞いても良いかしら?」
「不幸にして15と17でヤーンに召された、従姉妹達の名前を貰うの。
 アエリアとマリスの分まで、私が幸せにしてみせるんだから!」

「そうですとも!
 こんなに別嬪さんなんだからね、み〜んな幸せになりますとも!!
 あぁ、すみません!
 つい、無礼な口をきいちまって!!」
「そんな事は気にしないで、他人行儀な喋り方をしたら怒るわよ!
 ケイロニアの姉姫だって、『タヴィア』って呼び捨てにしていたんでしょ?
 カメロンから聞いたわ、分け隔て無く一緒に家族として暮らしていたって。
 私とも家族になってくれる、って言ったじゃないの。
 大公様なんて言わず、私の事は『ネリス』って呼びなさい!
 約束よ、オリー母さん」

 おずおずと口を開きかけたオリーの気配を、研ぎ澄まされた聴覚が察した。
 長年共に暮らし、呼吸を熟知するゴダロが機先を制し口を挟む。
「口答えするな、ばばあ。
 大公様が仰られているんだ、言われた通りにしねぇか。
 ユナス様だって伯爵なんか面倒だ、靴屋の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ