曙光
老帝の祝福
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スへ御越しになる。
此の国は滅びないぞ、俺達の手で必ず復興させるんだ!
モンゴールの為に!
モンゴールの為に!!」
誰からとも無く洩れた呟きは、瞬く間に居合わせた全員に広がった。
何時しかトーラス全市を包む、巨大な唱和の声と化した。
「ふうん。
何の裏も無い贈り物に値するのは、ダンだけじゃなかったんだな。
此の街はもう、殺す者に命脈を絶たれた筈なんだけど。
何とか出来る、かもしれないな」
故郷≪ふるさと≫を愛する想い、恩賞代償を求めぬ人々の祈りを聞いたのかも知れぬ。
たそがれの精霊、ジンの呟きが風の中に消えた。
新たな息吹に満ちた新生ゴーラ王国の新都、イシュタールの北に位置する小さな搭。
クリームヒルドの塔では魔道師に伴われ、2組の来客が到着しアムネリスの許を訪れた。
「まぁ、アレン御姉様!
海から遠く隔てられた此の場所まで、駆け付けて来てくれるなんて!!」
「アムネリス、可愛い義妹!
元気な貴女と赤子の顔が見れて嬉しいわ!!」
「本当に良い御子ですよ、私をお側にお呼び頂いたからにはもう大丈夫ですからね!
風邪ひとつ、ひかせやしませんとも!!」
「頼もしいね、私も大船に乗ったみたいに安心して見ていられるよ。
パロの魔道師が現れた時には何事かと思ったけど、来て良かった。
アムネリスが援けを必要としていると聞いて、兄が止めるのを振り切って来たのだけれどね。
此方の娘さんは双子を産んだのかい、小さな体で大したもんだね!」
「羨ましい、私も今度は双子が欲しいわ。
女の子を2人、もう名前まで決めているのよ!」
「へぇ、気が早いね!
何と云う名前か、聞いても良いかしら?」
「不幸にして15と17でヤーンに召された、従姉妹達の名前を貰うの。
アエリアとマリスの分まで、私が幸せにしてみせるんだから!」
「そうですとも!
こんなに別嬪さんなんだからね、み〜んな幸せになりますとも!!
あぁ、すみません!
つい、無礼な口をきいちまって!!」
「そんな事は気にしないで、他人行儀な喋り方をしたら怒るわよ!
ケイロニアの姉姫だって、『タヴィア』って呼び捨てにしていたんでしょ?
カメロンから聞いたわ、分け隔て無く一緒に家族として暮らしていたって。
私とも家族になってくれる、って言ったじゃないの。
大公様なんて言わず、私の事は『ネリス』って呼びなさい!
約束よ、オリー母さん」
おずおずと口を開きかけたオリーの気配を、研ぎ澄まされた聴覚が察した。
長年共に暮らし、呼吸を熟知するゴダロが機先を制し口を挟む。
「口答えするな、ばばあ。
大公様が仰られているんだ、言われた通りにしねぇか。
ユナス様だって伯爵なんか面倒だ、靴屋の
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