決闘
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ゃんにねだって買ってもらった“のろいうさぎ”というぬいぐるみを見て、よく面倒を見てくれていた事を思い返していた。あの時のヴィータは、本当に嬉しそうに笑ってたなぁ。
リインフォースは、なんか小さな箱を持っていた。よくわからないけど、棒状の何かと糸のようなモノが見える。あれは一体何やろ?
そうして皆がサバタ兄ちゃんと過ごした思い出に浸るのを時々呼び戻して、一時間ぐらい頑張って掃除したらピカピカとまでは言わないが、ようやく落ち着ける清浄感が家に戻った。何て言うか、人がいなくなった家というのは2ヵ月だけでここまで寂れるものなんやなぁ、と改めて実感した。
「……ふぅ、大体こんな所やね。皆、お疲れさま」
掃除が終わってコタツで一息つく皆に、シャマルが台所からお茶とせんべいを出す。ヴィータが特に疲れた様子で突っ伏しているが、その理由は掃除の方法が全くわからなかったシグナムを彼女が主にフォローしたからや。なんちゅうか……剣以外だとシグナムって結構ポンコツなんやよなぁ……ま、ギャップがあって可愛いとは思うけど、ヴィータには苦労をかけてしまって申し訳ない。
「主」
「どうしたん、リインフォース?」
「実は兄様の部屋に、このようなものが……」
物憂げな表情でリインフォースが持ってきたのはさっきの謎の小箱で、中にはリインフォースに似合いそうな縞々のセーターと、ほとんど完成目前だけど作りかけの淡い白色のマフラーが入っていた。……ん? ちょっと待って、これがサバタ兄ちゃんの部屋にあったって事は…………。
「ええ、このマフラーとセーターは間違いなく兄様が作っていたものでしょう。どうして作っていたのかはわかりませんが……」
「あ、それあたし、知ってる。前にはやての足の検査で石田先生の所に行った時、クリスマスは贈り物をするものだって兄ちゃんが石田先生に教えられたんだ。それで何を贈れば良いのかって訊いたら、手作りだと相手にとても喜ばれるから時間があるなら作ってみたらって……」
「そういえば兄上殿は、時々部屋で何らかの作業をしている時がありました。以前気になって尋ねたら、ちょっとした手作業だ、とだけ答えてくれましたが……まさか主達がパーティを考えていた裏で、こんな粋な事をしていたとは……」
「ああ……兄上殿の深い愛情が、これを見ているだけで伝わって来る……。いなくなった後も、我々は兄上殿の気遣いの深さには勝てなかったな」
「セーターはリインフォースに、マフラーはきっとはやてちゃんに贈るつもりだったのね……。ニダヴェリールの件が無ければ、ファーヴニルが目覚めていなければ、ラタトスクがあんな事をしなければ、この“クリスマスプレゼント”は完成していたはず……。今更起こった事は変えられないけど、願わくば最後まで作ってもらいたかった
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