決闘
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ンチとなっているため、喰らう度に意識が飛びそうになる。しかし意地と気合いだけで毎回耐え、同じようにパンチをお見舞いする。それをもう何度目かわからないぐらい繰り返し……刹那、
「―――――あ」
ふっ……と私の身体全体が全く言う事を聞かなくなって、前に倒れてしまう。右を向いたうつ伏せのままピクリとも動けなくなった私は、敗北を本能的に理解した。
「ハァ……ハァ……、も……動け、へん……」
ああ、やっぱり勝てなかったなぁ……と思った次の瞬間、すぐ左隣から人が倒れる音がする。もう顔を動かす体力すら残ってないから見れないけど、マキナちゃんも同時に限界を迎えたらしい。つまりこの決闘は……、
『引き分け……か……。少しは強く……なったか……』
「いいや……私の負けや……。先に倒れたし……そっちは怪我が残ったままやから……」
『戦いの場に……言い訳は存在しない……。この決闘は……引き分けだ……!』
「そっか……。……少しだけ……認めてもらえたんかな……? ほんの少しだけ……届いたんかな……?」
虚空を見上げて、結界の向こうでほのかに輝く月を見つめる。そこからサバタ兄ちゃんが見守ってくれているような……そんな気がした。僅差で立っていたというのに、引き分けだと言い張って自分が勝ったとは言わないマキナちゃんに、どこかサバタ兄ちゃんと似た意地と気遣いを感じた。
そんな風に倒れながら天を見上げる私達……皆が思ってたような魔法戦じゃなかった事からあんまし役に立たなかった結界が解かれると、空から降ってきた冷たく白い結晶が頬をなでる。どうやら決闘の間に、外では雪が降ってきていたらしい……。
「そういや、今日ってクリスマスやったな……あと一時間ぐらいで25日も終わっちゃうけど」
『クリスマス?』
「生誕祭って意味や。地球の日本だと、恋人や家族と祝ったりする日なんよ……」
『恋人や家族、か……。家族同然の仲間はいるけど……血の繋がった家族は、お互い一人もいないな』
「せやね……お父さんもお母さんも、ずっと昔に事故で死んでしまった。マキナちゃんも11年前の事件のせいで……」
『そう、あの事件が全ての終わりの始まりだった。私にとっても、そしてシャロンにとっても……』
「あのさ……度々出てくる名前やけど、もしかしてシャロンって私を助けた月詠幻歌の子……?」
『そして唯一生き残ってた……私の幼馴染み。彼女の受けた心の傷は相当深く、リインフォースの姿を見るだけで怯えてしまう程だった。アクーナが滅んで、生きる事を諦めて、サバタ様のおかげでもう一度生きようとして、私や王様達と暮らして心の傷もほんの少しずつ塞がってきて……サバタ様がいなくなった後も、ゆっくり治していこうと思ってたのに……』
「……ごめん
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