IFルート 一話:狂った運命
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まさに神に見放されたとでも言えるかのような不運が男を襲う。
だが、それでも彼の体は決して奇跡を起こさせないために動き、アリアに手を伸ばす。
その瞳にはアリアは映っておらず、在りし日の地獄だけが映っていた。
全てを救おうとして、全てを失ったあの日を。
救うと言って―――殺すことすらできずに逃げ出したしまったあの少女を。
「チェーンバインド!」
「バインド!」
結論から言えば衛宮切嗣の手は決して届くことはなかった。
アルフとユーノのバインドにより何重にも拘束されてついに動きを止める切嗣。
そして、それを見計らったかのように白き光が天を穿つ。
防衛プログラムと八神はやての切り離しが成功してしまったのだ。
『我ら、夜天の主の下に集いし騎士』
剣の騎士が凛とした声で謳い始める。
『主ある限り、我らの魂尽きる事なし』
泉の騎士がその詩を続ける。
『この身に命ある限り、我らは御身の下にあり』
盾の守護獣が永遠に破られぬ誓いの言の葉を告げる。
『我らが主、夜天の王、八神はやての名の下に』
鉄槌の騎士がこの世で最も愛しき最後の夜天の主の名を誇らしげに謳い上げる。
その光景を切嗣はこれが本当に人間にできる表情なのかと疑いたくなる無表情で見つめる。
彼の心には喜びも罪悪感もなかった。ただ、恐怖だけがあった。
全てが失われるかもしれないという、衛宮切嗣の“体”を突き動かす恐怖が。
少女と家族は救われた。だが、世界はまだ救われてなどいない。
ならば、やることは一つ。最悪の事態を招く前に対処するだけ。
「……アルカンシェルで辺り一帯ごと消し飛ばす」
衛宮切嗣はここに来てまでも目の前の奇跡から目を逸らし続けていた。
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