IFルート 一話:狂った運命
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「時間がないから手短に伝えておこう。切嗣、主はお前の声で起きた。主の願いはお前と話すこと」
「何…だと? つまり、僕が―――封印を解いたというのか?」
クロノの背中に突き付けた状態で銃を震わせる切嗣。
『ローラン』による凍結魔法が解けたのは切嗣のおかげだというリインフォース。
それは額縁だけで受け取れば感謝の言葉にも聞こえるかもしれない。
しかし、そんなことはない。
彼女は世界を危機にさらすという結果を他ならぬ衛宮切嗣が招いたと言っているのだ。
「目覚めぬはずの主が目を覚ました。これを奇跡と呼ばずになんという。
喜べ、切嗣。お前はやっと―――奇跡を起こせたのだ」
奇跡は起きた。他ならぬ衛宮切嗣の手によって。
その言葉を最後にリインフォースは表から姿を消す。
―――だが、しかし。
そんなことを彼が認められるはずもない。
衛宮切嗣は如何なる理由があれど奇跡を信じることなどない。
奇跡など起こらないと断じて数えきれない程の人間を殺してきた男が。
―――奇跡を認められるはずがない。
「ふざけるな…っ。そんなことを―――認められるかッ!!」
もはや、意地であった。否、意固地にならなければ罪の重さに押しつぶされてしまうだろう。
今までのような行いを選択し続ける。それだけが衛宮切嗣に許されたことと信じて疑わない。
リインフォースが防衛プログラムとの切り離しを終える前に封印すべくアリアの方を向く。
だが、その刹那に生じた隙をクロノが見逃すはずがなかった。
「はあっ!」
「ちっ!」
一瞬の戸惑いも見せずに体を捻り、銃口から自身を逸らしながらS2Uを叩きつける。
相手の本分は中・遠距離からの射撃。故に勝つには近接戦闘でいくしかないと考えていた。
しかしながら、その考えは少々甘いと言わざるを得ないだろう。
『Mode knife.』
コンテンダーとは逆の腕にナイフを出現させS2Uの軌道をずらし衝撃を緩和させる切嗣。
何も切嗣は近接戦闘ができないわけではない。
最も効率よく人を殺す手段が射撃であることが多いために銃を多用しているに過ぎない。
必要とあらば如何なる道具も使いこなし、ターゲットを殺してみせる。
それが殺人というテクノロジーの全てを手に入れた男、衛宮切嗣だ。
「―――フッ!」
「つ…ッ」
最短かつ、最速で放たれるナイフによる無数の刺突。
その技には光り輝くものはない。究極の一と言えるものでもない。
だが、愚直に人を殺すという行為だけに全てを捧げてきた背景が手に取るように感じられる。
故に、S2Uで弾き、いなし、躱しながらも額を伝う冷たい汗が消えることはない。
しかし、た
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