十話
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「一輝……どこだよ……」
「神、もう帰りましょう? 一輝君ももう家に帰ってるでしょうし……」
「さっき電話で『まだ帰ってない』って言ってた……こんな時間なのに帰らないなんておかしい」
日が沈み、商店街の街灯に照らされた道を歩きながら神は自身が暮らす教会のシスターに強く言った。先程から雪も少し降ってきて寒くなっている……
軽く二、三時間は経ち、其でも神は一輝を探していた……
理由は数時間前にシスターが一輝を見かけたと言い、神が黒鉄家に電話したところ一輝はまだ帰っていないと言われていたからである……
その時に思い出したのである……
『自分は黒鉄家に居場所がない』と悲しそうに一輝が言っていたことを……
すぐに神は一輝を探し始めたのだが、限界を感じている……
「……後は、警察に頼むわ……もう帰りましょう? 風邪ひいちゃ「ひいてもいい」……え?」
シスターの言葉を被せるように言った神の言葉に驚くシスター
「あいつが無事なら、風邪なんかひいてもいい」
神はそう言い放つと、商店街の外へと走り出す。まだ探していない場所はある、そこにきっと
一輝はいる筈……
「神!?」
シスターの言葉を無視し、神は一輝を見つけるために走った
●○●○
そして、見つけた……
髭を蓄えた大柄な老人の肩に抱えられた親友を。
「……おっさん、そいつをどうするつもりだ?」
「病院に連れて行く。かなり衰弱しているしな、このままだと凍え死ぬかもしれん」
そう言われ、神は一輝を見た。寒さで頬が赤くなっており、眠っている
「誘拐するつもりか……?」
「おいおい、儂の顔を見て言っているのか? 儂の顔は皆知っている筈じゃが?」
神の言葉に老人は呆れたように言う
「……はぁ?」
其を聞いた神は老人の顔のパーツ一つ一つ見る。白髪に薄い眉、少し切れ長な黒い瞳、考えられない大柄な体格……
そこで気付いた
「……サムライ、リョーマ?」
「そう、正確には黒鉄龍馬だがな。気付かなかったのか?」
龍馬の声に神は応えない……
それよりも神の中にはある思いで溢れていた……
ーそうか、こいつも……
一輝を苦しめる家の人か……
そう思ったと同時に、神は龍馬を睨む
「…っ!?」
龍馬は、こちらを睨みつける翔の目を見て無意識に震えた……
今まで……第二次世界大戦とは雲泥の差と思うほどの巨大な殺気と共に向けられる神の瞳……
それは、歴戦の英雄である龍馬すらをも震え上がらせるほどのもの……
ーなんじゃ!? こやつ、一体……!?
「一輝…を…」
龍馬は、無意識に魔力で肉体を強化した
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