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第一章
勝負服
ホー=チミンは今日も暑い。その暑さの中でだ。
人々は活気に満ちている。誰もが明るい顔で学校に通い働いている。
それはチュオン=バン=チンも同じだ。彼女は大学の教室でクラスメイト達とこんな話をしていた。
「最近美味しいお店って何処かしら」
「ああ、麺だったらあそこで」
「御飯だったらあそこ」
「御菓子だったらね」
女の子の話はだ。どの国でも同じだ。皆笑顔で話をしている。
そしてだ。こんな話もするのだった。
「最近チュオン服変えたわね」
一人がチュオンに言ってきた。
「ズボン増えたわね」
「うん、動きやすいからね」
チュオンは微笑んで彼女のその言葉に応えた。チュオンは今は白いブラウスに青いジーンズというラフな格好である。それが黒のロングヘアによく似合っている。切れ長の長い睫毛の目に大きな薄い唇の口、高い鼻は整っている。背は高くすらりとしていてそれがまたジーンズに似合っている。
その彼女がだ。応えてこう言うのだった。
「だから最近はね」
「ズボン多いのね」
「日本とか台湾のファッション勉強してるのよ」
ここでこうも言うのだった。
「それでなの」
「あっ、日本ね」
「それと台湾なのね」
「そうなの。アメリカのファッションもいいけれど」
それでもだというのである。
「やっぱり。同じアジアだしね」
「そうよね。一番参考になるわよね」
「それはね」
「着物とかは流石に無理だけれど」
チュアンは笑って日本のその着物は駄目だというのだった。
「高いしあれって完璧に日本だから」
「だから全然ってことね」
「普通の服ってことね」
「やっぱり」
「そうなのよ。とにかくあれなのよ」
また言うチュアンだった。
「服はね。やっぱり日本とか台湾よね」
「確かにね。韓国もいいけれどね」
「まあ日本が一番いいわね」
「垢抜けてるし」
「参考にするのなら一番ね」
他の娘達もこう話す。そして彼女達はこんなことも言う。
「昔の服なんてねえ」
「もうださいからね」
「着ていられないっての」
「そうそう」
昔の服、ベトナムのかつての服については邪険に否定するのだった。
「もう服があればいいって時代じゃないから」
「これからは我が国もファッションに凝ってかないとね」
「そうしないとね」
「アオザイも古いわよね」
「そうそう、もうアオザイよりもね」
「今の服よ、トップモードよ」
そんな話をするのであった。ベトナムが豊かになってきているのは事実であり彼女達もそれを自覚しながらだ。ファッションを楽しむのだった。
特にチュアンはだった。食べ物も好きだが特に服だった。それに凝っていてお小遣いの殆どをそれに
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