一章
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ゼロ。大犯罪者であり、魔王と呼ばれる男
悪魔のティナの所有者であり、1億をはるかに超える賞金首
「で。俺は簡単にお前を潰せるわけだけど……どうする?」
「ひ、ひぃ……!」
ゼロは口の端をつり上げて笑う
彼の目は笑わない。ただ、口もとだけが歪む
「こ、ころさ、ないで……」
「あぁ、構わねぇよ?お前ごときの命なんざ何にもならねぇ」
辺りは静かだ。ゼロであることを知っても、ここに恐ろしい大罪人がいるとわかっていても、誰も動けない。悪魔への恐怖のためだ
「条件がある」
「は、は……はい?」
ゼロは怯える男に近づき、小さな声で条件を提示した
男は目をかっと開き、それからおどおどと頷いた
「交渉成立だ」
ゼロの手に闇が帯びる。黒と紫、それから赤を従えたまがまがしい色合いの闇だ。それは一瞬で男を覆い、闇が消えたとき男はピクリとも動かず、そのまま地面に突っ伏した
勝敗は静かに決した。巨大な岩も、荒々しい地割れも、なにも、何も関することなく
「……さて」
ゼロはコートをなびかせ振り向く。背の翼はいつの間にか消え、手首辺りからだろうか。硬化した爪はコキコキと小気味よく音をならして近づく。
向かう先はひとつ。役人の固まるところだ
「う、わわわ !」
「くるな!」
役人たちはバラバラと逃げようとするが、逃げられる前にゼロはひとりの男を取り押さえた。
役人のリーダー。店の客に悪態と暴力をし続けた男だ
「ひぃ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「キィキィ鳴くな、カス。その舌引っこ抜くぞ 」
ゼロは役人を見下ろし、首にその爪を当てる。刺さるか刺さらないかの瀬戸際。
「ご、、ごぺんなざい……どうが、許じで……」
「あ?もうそれかよ。醜い野郎だ」
「は、ばい……おがねなら、払いますから……いくらでも……だがら……どうが……」
「クク……ふざけんなよ」
ゼロの爪が動いた。人差し指だけ素早く動いたと思ったら、役人の首から血が弾けとんだ
「あ"ぁぁぁ!!!ぎゃああああああああ!!!」
指先は首の脈打つところに穴をあけ、そこから噴水のように血がふきだす。役人は痛みと恐怖から手で抑えたまま地面を転げ回った。ゼロはそれを静かに見下ろす
「動脈に穴をあけた。まだ、医者に輸血してもらえば助かる。まぁ、この町にそれをしてくれる奴がいるかはわからないけどな」
「は、は、はぁ!??」
「こうでもならねえと行動の代償がわからねぇだろ?」
ゼロはせせら笑った。それを見て、死ぬ間際の役人は大声で意味のわからない悪態をつき、叫び、許しを請うた。ゼロはそれを
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