転生の果てに
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、助けたかったのか。多分両方だろう。
そして叫んでいた私は怒っていたのか、悲しんでいたのか、寂しかったのか、苦しかったのか、嗚咽混じりに彼を呼んでいた。
そんな私を慰めるかの様に彼が手を伸ばし、話す。
「刀・・・奈さ・・ん。し・・んぱ・・い、しな・・いで。これ・・で元・・通・・りだか・・ら」
と言いながら私の涙を手で拭き取る。
「なにが、元通りなのよ!全然戻って無いわよ!貴方が・・・いないじゃない!」
そうやって泣く私に、にっこりと笑った彼はそっと私を手で引き寄せ、キスした。
数秒後、また彼は話す。
「すま・・ない。もう、いか・・・なきゃ、ごめ・・ん。愛・・して・・・たよ」
そういって私の顔に添えていた手が地面に落ちる。
「待って!・・・まってよ・・・お願いだから、目を開けてよ・・・!私を置いていかないで・・・!」
彼は動かない。もう間に合わない。私は最初のファーストキスを奪って、そのまま何処かへ行った彼の魂の抜け殻を抱きながら、喉が張り裂けんほど泣き続けた。
ー?ー
「ーい」
誰かが何か言っている。正直もうどうでも良かったので俺はそのまま目を瞑っている。
まて、目を瞑って?では開けることもできるのか?
そう自問自答して目を開けると、強烈な光が差し込んできた。
「ーーーっ!」
最初は開けれなかったが時間をかけて少しずつ目を開けた。ここは俺が転生したときにいた、白い部屋。そんなことよりも俺は何故ここにいるのか分からなかった。と、そこに
「おー!やっと起きたか」
と少し向こうに新聞を折りたたみ膝を払って立ち上がる老人。
「・・・」
「ほら、なにか言ってみぃ。ほら」
と言っているが俺は喋る気は無かった。それよりも何故またここにいなければいけないのか!と言う怒りだけが静かに胸の中で渦巻いていた。
「お、何か言いたそうな顔をしておるぞ少年」
「なぜ、俺はここにいる」
「なぜ、なぜと言われればのぉ・・・お主が死んだからかの?」
「・・・生きてればいずれ死ぬ」
「ははは!ある意味では会ってるが、ある意味では間違っておる」
「・・・?」
「そりゃ生きてれば寿命で死ぬのが生き物じゃ、だがお主は心が死んでおる。正確には封じ込めとる、と言った方が正しいかの」
「・・・違う」
「人間必ず生きたいと思うのが人間じゃ。だがお主は死にたいと、いや、消えたいと思っておる様じゃな?」
「・・・違」
「違わん!」
否定しようとした俺に向かってはっきりと否定を否定する老人。
「おお、すまんすまん。何故ここにお主とわしが入るかと言うと。簡単に
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