8部分:第八章
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第八章
二人はすぐにありとあらゆるものを買って食べていく。金魚すくいもやればヨーヨーも買う。お面は頭にある。完全に祭りの姿だ。
そんな二人を見てだ。直美はまた顔を顰めさせて登志夫に言った。
「何よ、あれ」
「御祭りを楽しんでるんだよ」
「だから。あの無秩序さは何なのよ」
彼女が言うのはこのことだった。
「何だっていうのよ」
「楽しんでるんじゃない」
登志夫はだ。にこやかに笑って答えるのだった。
「御祭りをね」
「楽しむってね」
「御祭りは楽しむものだよ」
まだこう言う彼だった。
「だからだよ。いいじゃない」
「いいって」
「それじゃあだけれど」
登志夫はここでも直美の話を聞き流してだ。そのうえで彼女に言った。
「僕達もね」
「えっ!?」
「だから僕達も楽しもう」
こう直美に話すのだった。
「いいよね、僕達もね」
「あの、楽しむって!?」
「だから。楽しもう」
登志夫の言葉は変わらない。見事なまでだ。
「いいよね。お祭りをね」
「御祭りをって」
「よし、話は決まりだね」
強引にそういうことにした。これまで通りだ。
「最初はお好み焼きかな」
「だから勝手に話を決めないでよ」
「お好み焼き嫌い?」
まだ言おうとする直美に問い返した。
「ひょっとして」
「嫌いな食べ物はないわ」
それはきっぱりと否定する直美だった。それはだというのだ。
「何でも残さずよく食べる。当然でしょ」
「じゃあいいよ」
また言う彼だった。そしてだ。
まずはお好み焼きだ。そしてたこ焼きにフランクフルト、焼き鳥にクレープにたい焼きにりんご飴とだ。食べ荒らすが如くだった。
そしてそのうえでだ。射的もした。まずは登志夫がするのだった。
照準を合わせてだ。狙った商品を討つ。だが。
一つも当たらない。全くだった。それをしてみてだ。
登志夫はだ。苦笑いと共にこんなことを言った。
「こういうのってね」
「苦手とか?」
「出店でやると全然駄目なんだよ」
そうだというのである。
「もうね」
「そうね。どうやら」
直美はだ。登志夫が今持っているその銃を見てだ。冷静な顔で言うのだった。
「その銃おかしいわ」
「おかしいって?」
「かなり古い銃ね」
その銃のあちこちに傷があるのを見ての言葉だった。
「年季があるわ」
「そうなんだ」
「そうよ。だから癖が強くなっているのよ」
そうだというのである。
「だからここはね」
「ここは?」
「考えて撃つべきよ」
「考えてって」
「狙いは心持ち右に」
こう登志夫に話す。
「いいわね。思っているより右を狙って撃つのよ」
「そうすればいいんだ」
「そうしたら当たるわ」
こうだ。登志夫に真面目な顔でア
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