暁 〜小説投稿サイト〜
骨斧式・コラボ達と、幕間達の放置場所
交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
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の? 点数付けるなら10点がいいトコね』
 などと言われているも同義であり、スイは彼女の言葉の丁寧さとは裏腹な内包された淀みに表情をゆがめる。


「っ……いや」


 咄嗟に武器を構えかけたスイだったが、その手は柄へと延びる事は無く、クリスタルの入ったポーチへと延びていく。

 相手する理由がないのだし、そもそもオレンジプレイヤーが全員殺人者だと言うのは、被害の多さから生まれる行きすぎた “極論” であり、目の前の女性プレイヤーがPKを行った証拠は何処にも無い。

 直ぐに殺そうとしなかったり、一人で行動しているのを見るに、大方盗みを行ってオレンジになったのを利用して脅かしているだけだろうとスイは値をつけた。

 そして放っておけば追ってくるだろう、面倒くさい人物から逃げ帰る為『転移結晶』を取りだし―――





 直後に走るは余りに冷たく、余りに強烈な “殺気”。


「うあっ!?」


 アイテムを取りだす事を放棄し瞬時に大きく仰け反ってみれば、目の前を紅の残像が掠め通って行った。

 一瞬何が起こったかと目を見開くも……即座に考えるまでも無いとばかりに背の武器を抜いて、正眼に構え対峙する。


「ウフフ……逃がしませんよぉ? 『殺戮者』さん?」


 同時に悟る。この女性プレイヤーは、ただ露店でスキル頼みに盗みを働いた小悪党ではない……己が手で人を殺す事に何の躊躇いも持たない、彼の相対してきた殺人者達と同じ眼だと。


「殺すぜ? あんたを」
「どうぞどうぞ♪ 出来るものならねぇ?」


 女性はスコーピオンを手でクルクル回して遊びつつ、どう聞いたって馬鹿にしているとしか取れないセリフを、いかにも楽しげといった感じで言い放つ。

 スイの放つ殺気もまるでそよ風が如く動じず、飽くまで表情は笑顔のままに自然体を崩さない。


(今までの奴らよりは、強いみたいだが……)


 隙が見えないながら、されどスイの内心は別段気負ってなどいなかった。


 それはスイのスキル【殺戮者】に起因する。

 熟練度マックスまで上げると、プレイヤーキルをする度にレベルも1上がると言うとんでもないスキルであり、これをONにした状態のスイのレベルは……驚くなかれ 『412』 。
 攻略組で有ろうと無かろうと、先ず敵う事の無い数字なのは目に見えており、逆にいえば【殺戮者】があるからこそ自分自身に危機を及ぼす事無く、スイはオレンジ殺しを続けられるといっても良い。

 そして先まで戦いを続けていたのだから、当然【殺戮者】スキルはON状態のまま……何のつもりで女性が襲いかかって来たのかは知れないが、結果など火を見るよりも明らかだった。


「……シッ!」



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