交節・ “愚” と “紅” 、二種の殺戮者
[1/13]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「おらぁっ!」
「うあ!?」
「ぐっ……くぉっ!」
「てめえぇ!!」
フルダイブゲーム。
ゲームの中に直接飛び込んで、己がアバターの身体を動かして操作するという、まったく新しい感覚を呼び込むゲームの次なる形。
そのうち一つ、VRMMO・RPGと呼ばれるジャンルのゲームであり、これからの着火剤とも期待作とも呼ばれ…………されど一人の鬼才の謀略により、HP0=現実の死とも直結しているデスゲームと化してしまった―――剣の織り成す世界、『ソードアート・オンライン』
略称 “SAO” 。
その舞台である、浮遊城アインクラッド。
そのさらに内部の、明りが心許無い丸型の鉱石灯しかない、数メートル先の分からぬ薄暗いダンジョン…… “迷宮区” と呼ばれる鉄塔の中。
高らかな金属音が断続的に鳴り響き、怒号と悲鳴が飛び交う。
音源では―――両手剣を持った少年が、齢三十代に見える男数人と渡り合っていた。
両手剣を持った少年の名前は『スイ』。
理由は後述するが……『殺戮者』という物騒な名で知られる、所謂有名どころなプレイヤーだ。
「うらああっ!!」
「遅え」
スイは自然体で構え、相手の一撃を待つ。
短剣使いの突進を両手剣の柄で右へ受け流し、一歩の踏み込みから首めがけて刃が吸い込まれ―――次の瞬間には頭蓋が高々宙を舞う。
同時の男のHPは全損。それ即ち、ゲーム世界からも現実世界からも、永久に退場した事を告げていた。
だが、スイは止まらない。
呆けて立ち尽くす男へと、振り切った勢いのままに回転してそのまま斬撃。首を又も跳ね飛ばす。
「なっ……このクソが!」
「ふざけんじゃねえっ!」
其処でようやく我に返った三人目が大声で己を叱咤し、四人目が盾を使った防御重視の追撃を行っていく。
「せいっ!」
「うぐお!? ……うがあっ!!」
四人目のみ見れば余り優勢とは言えない状況だが、少しずつ三人目へ背を向けさせていくのにに合わせて……その三人目が片手直剣を肩越しに構えた。
余りに隙だらけのその格好は、しかしこの『SAO』では決して油断してはいけない要素を含んでいる。
その名は【ソードスキル】。
基本技やスピード重視にダメージ重視、連続攻撃に移動技にデバフ付きなど、スキルそのものの多様さもさる事ながら……片手直剣や短剣に細剣、片手両手含めた斧に槍に、ムチやチャクラムまで各武器種毎にも、それこそすべて数えれば無限に近い数用意されているのだ。
「しいいああっ!」
「ふっ……せあっ!」
「うぎっ!?」
大音響を撒き散らす両手剣と楯の衝突……それが合図だった。
男が剣を肩に
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ