未練-リグレット-
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、ですね…ごめんなさい。私、今までウエストウッド村から出た事なかったから…いつかは外の世界を見てみたいって思っていました。でも、外の世界に出てから、悪い事ばかり起こってるからちょっと不安になって」
「外の世界?あぁ…確か、この世界じゃエルフって人間と仲が悪いって話だったな」
エルフと人間の過去の歴史と宗教観の違いによる6000年もの溝。アスカは、テファが世間の目にも映ることのない村の中で暮らしてきた理由を、ゼットンとの戦いが終わった直後にシュウが眠っている間に、一通り聞いてはいた。
「でも酷いもんだな。なんたってテファみたいな女の子がこんな目に会わなきゃいけねえんだ。何も悪さしちゃいないのによ」
同時にこの世界の、ある意味地球よりも理不尽に思える情勢に対して不満を口にしたほどだ。
「いいんです。私は混じり物だから…」
「そんなこというもんじゃないよ。あんたは何も悪くない。生まれなんて否定のしようもないし、あたしたちはテファのことをよく知ってるんだからね」
ネガティヴになるテファに、マチルダはそういうと、話を今回の騒ぎの原因となった昼間の出来事に切り替えた。
「シュウ、アスカ。昼間の現象について何か心当たりあるかい?」
「今回の、か…うーん…わかんねえ。あったようでなかったような…」
頭を抱えるアスカ。自分の記憶をたどっていって確かめてみたのだが、頭にパッと浮かんでくることはなかった。
「ずいぶんと曖昧な答えだねぇ」
「悪ぃ。地球を離れてから何年も経っちまったからかな。戦う事があっても連日同じ敵とやりあうわけじゃないし、戦った相手のこと全部を覚えてるわけじゃないんだ」
「まあ、確かにそうだね。とはいえ、覚えていないんじゃしょうがないか…じゃあシュウ。あんたは?」
「………」
一方で、シュウは無言だった。さっきからこの調子だった。昼間、街で見かけた黒い花と、その際に偶々いた茶髪の女の子が自分たちを横切った時からだ。
「ちょっと、シュウ?」
「…?なんだ…?」
ようやく気づいたシュウは彼らしからぬ声を漏らす。
「なんだ…ってそれはないだろ。さっきからマチルダ、君にも質問していたぜ」
「そうか、悪かった…で、質問とは?」
「昼間に起きた事だ。街に現れた怪獣が、見ている人によって異なっていた現象に覚えがないかってこと」
「…幻、というものなら覚えはある」
シュウは、以前までに戦った敵の中でそのような能力を持った奴の覚えはあった。スペースビースト、ガルベロス。目から放つ催眠波動で人間の脳を支配し、あらゆる幻を見せる。自分を不死身に見せかけるのはもちろん、人によって見せる姿を変えることも可能かもしれない。
「幻を見せる地獄の犬っころか。こいつはたちが悪いな」
シュウから覚えのある怪獣の話を聞いたアスカが、顔を歪める。
で
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