未練-リグレット-
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るか?」
「大半が貴族の若造で構成されている。俺のほうで集めておいた仲間を、すでに潜り込ませてあるぜ。
で、どうする『船長』?動くのか」
「うむ…」
3人組のうち、中央の椅子に座っていた男の暗闇の中に隠れていた顔が、露わになった。眼帯と帽子、まるで海賊のようなその風貌…
その男は、かつてグレンが所属していた炎の空賊団の3兄弟船長の長男、ガル船長だったのだ。
「野郎ども!!ついにわしらの自由の箱舟を取り返す時が来た!」
「準備はできてるじゃろうな!!?」
それに続いて弟たち、ギルとグルもろうそくの明かりのもとにその姿を現し、背後を振り返って大声を出す。すると、さらにその場から声がとどろき始めた。
「あたぼうよ船長!訊くだけ野暮ってもんだろうが!」
「俺たちの自由の翼を、権力よがりの豚野郎なんざにいいようにされてたまるか!!」
そこにいたのは、船長たちだけじゃなかった。何十人もの、ワルドの卑劣な手口が原因で散り散りになっていたはずの炎の空賊メンバーたちが揃っていたのだ。いつか再び空を駆け巡るその日のために、再びこの場所に結集していたのだ。しかも仲間の一部を、アルビオンの正規軍に潜り込ませたりと、周到な準備のもとで。
久しぶりの高揚と興奮に満ち溢れていた。自由の心に従い、空を再び飛びまわる日を、もう一度掴むために…。
…結局、アルビオン発の船は出されなかった。無理もない。そもそも今はレコンキスタのせいでトリステインとアルビオンの仲が過去最悪な状態だ。出せる船など寧ろないと考えるべきなのだが、各国の商人や職人たちにとってそれは打撃でもあるためか、厳重な検閲のもとで船が、以前と比べてごくわずかだが出されていた。テファの耳が、やはりエルフの血を引いていることもあって外出時は帽子で隠さないといけないが、検閲に火かかってしまったらそのときは強引な手段をとらざるを得ない。
とはいえ、港町であるロサイスで怪獣が出現したとか、噂でもそんな情報が流れたら迂闊に船を出すわけにいかない。
実際に怪獣は現れ、どういうわけか被害を一切出さなかったが、おかげで街は大パニックだ。安全のために船を出せないと言い渡しても、街から逃げようとロサイスの住人たちが船の管理者たちともめ始めた。
騒ぎに巻き込まれるわけに行かず、シュウたちはいったん宿をとるしかできなかった。
「これじゃあ、いつこの国を脱出できるかわかったもんじゃないねぇ…」
騒ぎ声が轟く街の外を客室の窓から見下ろしながら、マチルダはため息を漏らした。
「これからどうなるんだろう…」
テファが不安を口にすると、アスカが元気付けるように言った。
「不安がってたって仕方ねえって。何時までもこの状態が続くわけじゃないし、必ずこの国を抜ける手段ができるはずだ」
「そう
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