未練-リグレット-
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い。
人の恐怖心に漬け込み、幻覚を見せる。そしてその恐怖を吸い込む…と。その生態はシュウからすればまさに、新種のスペースビーストといっても過言じゃなかったに違いない。
もしかしたら、あの時に見た少女が、黒い花の影響で発現した、シュウの見た幻覚だとしたら…。
(あの女の子と、何かあったのね…)
テファは、あの少女に対してあれほど取り乱したシュウを思い出し、胸が苦しくなった。シュウが苦しそうな顔をしていたっから?いや…何か違う気がした。
彼女は、自分でもよくわからないが、もっと違う理由で胸が痛んだと思えた。どうしてかわからない。ただ、言葉に表すとしたら…『面白くない』の一言が浮かんだ。
「シュウ…」
いや、やめよう。
正直、子供たちには見えなくて、どうして自分にだけ見えていたのか、そんな疑問も浮かんだが、今はそんなことよりもシュウを見つけなくては。
辺りを見渡すと、思いのほか彼の姿を早くに発見した。そこから100メイル先の9時の方角。そこに彼の姿が見えた。
そして…あの少女の姿も見えた。
シュウはまだ、あの少女を追い続けた。
しばらく追い続けると、少女は宿から離れた路地裏に立っていた。そこであたかも、彼を待つように。
「はぁ…はぁ…!」
息を弾ませ、シュウは彼女に追いつき、目の前の彼女に向き合った。
「どうして…ここにいるんだ…?」
鉄仮面のように無表情さばかりを保ち続けていた彼の表情、それが変化を見せた。
それも、悲痛な…悲しみに満ちた顔だった。
「…愛梨」
二人の傍らには、紫苑の花も咲いていた。
だが不思議なことに、昼間に見かけたものとは違い、二人のそばで咲いていたその花は、白く染まっていた。
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