未練-リグレット-
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ことはわかるよ。でも今は船に乗り込むんだ」
「うん…」
まだ地下水に対してよい感情を抱ききれないが、サムはひとまずここは堪えた。全員で操舵室に向かおうとした……
…そのときだった。ふと後ろを振り返ったシュウが立ち止まった。
誰かが立っていてシュウの姿をじっと見ていた。
「!!」
港の入り口から見つめている『誰か』を見た途端に、シュウは頭の中が真っ白になった。
「兄ちゃん。どうしたんだ…?」
サムは自身の困惑の思いを口にする。窓の外を見たらいきなり驚きを見せていたようだが…。
何かいたのだろうか?それともまさか、怪獣!?テファも後ろを振り返ってみて外を眺めてみる。
そこには、誰かが立っていた。茶色とも栗色ともとれる綺麗な髪を持つ女の子だ。年齢は、自分やシュウと同じ年くらいに思える外見をしている。
ふと、彼女はテファと視線を合わせてきた。そして笑みを見せてきた。急に視線を向けられ微笑まれたことで、テファは驚きで胸が一瞬高鳴った。
しかし、テファが驚くのは次の、ジャックが放った言葉だった。
「誰かいたの?」
「え…?」
誰もいない?
「みんな、あそこに女の人がいるけど…」
彼女は気になって、宿のすぐ脇の道を指さしてみる。
「え?誰もいないじゃん」
しかし、子供たちは誰一人として、外に立っている少女を認識しなかった。いるはずの人間を認識できないなんて、自分が唯幻を見ているだけなのだろうか?
と、少女の動きに変化があった。宿から遠く離れた、港の方角から反対方向の北に向かって歩き出していた。
と、そのとき、突如シュウが彼女に向かって歩き出した。
「シュウ!?お、おい!どこへ行くんだい!?」
マチルダの声も聞こえておらず、反対側へ歩き出した彼の行動に一同が目を丸くしていた。
まるで彼を待っていたかのように、先ほど港の外から見えていた少女が、シュウが近づくと彼のほうを振り向いた。
「………そんな馬鹿な」
呆然としているシュウ。すると、少女はシュウに笑みを見せたまま、街の中へ駆け出していった。
「待て!!」
シュウは少女を追いかけ続けた。
「お、おい!!」
いきなり港を飛び出したシュウにマチルダとテファは、フェイントをかけられたように衝撃を受けた。
「待って!」
テファも釣られるように彼を追ってしまう。
「テファ、お待ち!!」
しかしマチルダの声が二度も無視され、テファも街の中へ消えてしまった。
「お、お姉ちゃんどうしよう…」
シュウもテファが二人揃っていなくなってしまった。予測し得なかった事態に今声を発したサマンサだけじゃなく、全員が動揺していた。
「くぅ…」
どうすればいい?やはり追うべきかと思ったらそうも行かない。地下水は今ヘンリーの体を借りている。アルビオン兵が一人子供
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ